第953話 ■ボブ・サップ

 最近彼の姿を目にしない日はない。もちろんブラウン管を通してだが。だいたい、彼は食ってるか、暴れている。そして、目をむき出しにして見得を切っている。これだけで数多くのCMに出ていられるのはうらやましい。ところで彼は随分長く日本にいるなあ?。ずっといる気なのだろうか?。余計なお世話だろうが、ちょっと気になる。

 そもそもCMやバラエティ番組に出るために日本に来たのではなかろう(全くの私の想像だが)。本来は格闘家、K−1戦士である。しかしこのK−1も脱税による興業会社社長の逮捕で興業どころの騒ぎではない。そんな中、彼はCMとバラエティ番組に活路を見出した。結果としてはそれが非常に受けているようだ。

 かつてこれら強面のキャラクターは被害を受ける出演者とのペアの構図で存在した。暴れる側とやられる側。デストロイヤーに4の字固めをされる、せんだみつおのように。バラエティ番組でもアンディ・フグは踵落しを実際に見せることで受けていた。しかし、ボブの場合は違う。誰かに危害を加えるでなく、しかし、怖さを醸し出しながら、おどけて見せる。それはそもそもボブが持ち合わせ、自然と見せているのか?、それともスタッフの演出なのか?。それはわからないが。非常に巧みだ。

 こうなったからには、今さらリングで闘う姿を見せない方が良いだろう。タレント活動が忙しく、練習する暇もないのでは?。逆に格闘家としての地位を目指すならばこのあたりでCMやバラエティから身を引くべきだ。闘う姿は格好良いだろうが、そこにあのひょうきんな姿がないとすれば格闘技ファンは別として一般人は毎日テレビで見ている姿と比べて違和感を感じるだろう。そうなるとスポンサーも身を引く。血を流したり、ダウンする姿を世間に晒すことは、現在のタレント活動においては死活問題となる。まあ、私が言うまでもなく、本人や彼の周りの人間は気が付いていることだろうが。

(秀)