第989話 ■愛知県での2つの事件

 愛知県で物騒な事件が続いている。記憶に新しいと言うか、まさに直近の話題としては「愛知県会社役員誘拐殺人事件」であろう。報道協定のため、全てを知ったときには既に誘拐された被害者は殺されていた。そして今現在の報道によると、地元の被害者と同じ青年会議所会員の会社役人が海外逃亡を図ったが、入国できず帰国したところを身柄確保されたようだ。

 報道協定というのは報道機関が警察と結ぶのではなく、報道機関同士が警察からの要請で、お互い抜け駆けなしよ、ということで約束する。誘拐事件の場合、犯人逮捕ではなく、人質の安全確保を目的とした協定であるため、犯人が逮捕されようとどうと、人質が無事に戻ったり、逆に遺体で見つかったような場合、その協定は終了する。

 身柄を確保された男性は現時点では実名も出ず、空港で連行される映像にもモザイクが掛かっている。明日以降、彼が容疑者となってワイドショーなども挙げての報道合戦となることだろう。不謹慎ながら、イラクでの戦争が終息してネタに困っていた頃ではなかったか?。

 しかし私がもっと物騒だなあと思うのは名古屋市内での連続通り魔事件である。最近めっきり報道されなくなったが、あれ以来事件は収まったのか?。誘拐事件は当事者と周辺者では距離感が大きい。例え犯人が捕まらなくても、自分が次の被害に遭う確率はきわめて低い。皆無と言ってもいいほどだ。しかし通り魔となると顔見知りとか関係なく(むしろ逆かもしれない)周辺者が次の被害者となる可能性がある。

 量刑的に見れば、営利目的誘拐および殺人は極めて重い罪だ。被害者を誘拐して即殺しておきながら、身代金を要求するところなどからすれば、死刑判決が出る可能性もある。しかし、通り魔事件も同じく死者が出た事件として相当悪質である。しかもまだこちらの犯人は逮捕されていない。変な犯人探しやプロファイリングをマスコミがやる必要はないが、ご当地以外の人々にも未解決であることを意識させるぐらいの報道はしておくべきではないか。久しぶりに現れたタマちゃんに浮かれている場合ではないぞ。

(秀)