第87話 ■こんにちは赤ちゃん

 読者の小須田君(仮名)のところに赤ちゃんが生まれた。女の子である。しっかり前から名前を決めていたらしく、わざわざクイズにして何と読むかとメールで知らせて来た。「読めない!」。答を聞いて、「ちょっと無理な読み方じゃないか」とコメントしておい […]

第86話 ■最後の晩餐

 「そろそろ限界だ」。そう思ってついにこの日を迎えた。茂雄(仮名)は妻聖子(仮名)に殺意を抱いている。茂雄は聖子の何でもよそと比較し、そちらをうらやましがる、そんな性格を許すことができなかった。マンションを買った時もそうだ。引っ越してまだ間 […]

第85話 ■三すくみ

 「聖子(仮名)、悪いんだけど急に金が必要になったんだ。買いたいもんがあってさ。ちょっと都合つかないかな?」 茂雄(仮名)はベッドで煙草を燻らせながら、聖子に話し掛けた。 「幾ら必要なの?」 「5万あると助かる」 「そんな急に言われても、・ […]

第84話 ■中華屋の主人

 10年前から約5年間、東京都大田区東雪谷に住んでいた。最寄り駅は東急池上線石川台駅である。池上線と言わないと「横浜のほうですか?」と、石川町と間違える人もいた。家は駅から徒歩7分、うち約5分間が商店街を通る。この「石川台商店街」にはコンビ […]

第83話 ■両親に会っておこう

 つきあっている彼女や彼氏と少しでも「結婚しようかな」、「しても良いかな」と思ったときには、早めに相手の両親に会っておくことをおすすめする。相手がどのような家庭環境で育ったかを知ることは極めて重要である。要は相手の両親の力関係を探っておくの […]

第82話 ■あぶり出し

                                      【解説】 「秀コラム」は文章で笑わせるだけでなく、タイトルで笑わせるのも「あり」だし、絵文字であろうとかまわない。今回は通常の執筆以上のエネルギーを用いて考え出した […]

第81話 ■世間様

 平日の昼間にテレビを点けると、だいたいワイドショーをやっている。他のチャンネルに換えてみても、その状況はあたかも金太郎飴のごとく、同じ話題をなぞっている。サッチーがどうしようと、偽装結婚による保険金詐欺が起ころうと、はたまた、芸能人の誰か […]

第80話 ■もんじゃの作法

 私のもんじゃデビューの地は浅草である。雷門の前の道を合羽橋方面(隅田川とは逆の方向)に5分ほど歩くと、かつて昭和初期頃までは日本一の歓楽街であったと言われる、六区にたどり着くが、その手前に「すしや通り」という細い、アーケードの通りがある。 […]

第79話 ■粘土屋

 地方によっては「型屋」と呼ばれていたりした。紙芝居屋と時期はほぼ同じく、30年ぐらい前の話である。1週間に1度とかの割合で、公園をオヤジが巡回して来る、男の子の遊びであった。素焼きで焼いた型に粘土を詰めて、作品を作るのである。オヤジはその […]

第78話 ■キラキラ

 花火の季節となり、週末となると浴衣姿を目にするようになった。ただ、ちょっと待て。ガングロな子は浴衣を着てはいけない。おまけにその白いキラキラしたパールのような口紅は浴衣には不似合いである。脱色した髪を束ねても、そんな後れ毛にゾクゾクはしな […]

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