第2015話 ■次女、求職中!

 次女が今春高校を卒業する。進学はせず、学校には就職希望で申請を出しているが、今日現在、4月からの身分がまだ決まっていない。就職希望者に対し、学校は熱心に就職先を斡旋してくれるが、1度に1つしか応募できず、結果が出るまで次の活動はできない。しかも内定が出れば、その内定を蹴ることは出来ず、とりあえずでもそこに就職しないといけないルールだ。いわゆる「オワハラ」が公立高校の場で起きている。

 熱心な先生たちはこのようなルールででも、就職者の数を増やしていくことが彼らの評価でもあるのだろうが、それでは困る。また、本当にやりたい仕事の情報が出るまで待つのが良いのか悩ましい。私は学校に出向いて、丁重に「このようなルールなら斡旋はいらない」と断りをいれた。会社の信頼性や待遇の面での条件ももちろん大事だが、「本当にやりたい仕事でなければ、無理して就職することなどない」と、娘には告げてある。ただ、本人の性格もあってか、のんびりとしていて、現状に対する危機感が足りないのは困る。

 3年前の高校入試のとき。千葉県の公立高校では前後期で2回の入試が行われる。前期日程は、学力の基礎点よりも部活動や生徒会活動で活躍した人が優位な選抜方式で行われているようだ。しかも、定員数は少ない。娘は特に何の活動もやっていなかったが、前期日程で現在通っている学校を受験した。結果は不合格。その結果を一緒に見に行った帰り道、「もう高校には行かない、お父さんの会社で働く」と泣きながら言った。「何で高校に行かないといけないの?」。この質問に対して、明確な答はなかった。「みんなが行っているから」なんて、自分は絶対に言わない。「何をしたいか、それを探すために高校に行きなさい」と言った。高校生活は楽しかったらしいが、3年経ってもあいにくまだやりたいことは見つかっていないらしい。まあ、そんなもんだろう。

 やりたい仕事かどうかの正社員よりも、やりたい仕事でのアルバイトの方が良いと思っている。もちろんそれは理想論で、賃金の格差や将来のことを考えれば、多くの人はそう言っていられないだろう。自分も会社勤めを続けていたら、「どこでも良いから就職しろ」と言っていたかもしれない。

 良い学校に入ったから、とか、良い会社に就職できたから安泰、なんてことはもはや通用しない。卒業や就職はこれから先、自分がどうやって生きていくかと向き合う絶好のタイミングだ。ところ天のように押し出されるままでは、全てを先送りしているだけだと思う。

(秀)