第2020話 ■「街の声」への疑問

 報道番組等でも、一通りスタジオから伝えた後に「それでは、街の声です」と、街頭での市民の声を放送することが多い。あれって、本当にいるんだろうか?。例えば、コロナ対策の外出等の自粛について、街頭での声が取材されている。あれは視聴者に一体何を伝えたいのだろうか?。街にどれくらいの人が出ているかの映像情報には興味がある。しかし、そこにいる人の話を聞いてみたいとは私は思わない。自粛していないことの言い訳や反論。「なるほど」とか「確かにね~」なんて新たな気付きを得ることなど一切ない。

 取材者は自粛の是非を尋ねているんだろう。そこで、そのような立場から意見を述べている。まるで街の人の代表かのような伝え方をする場合もあるが、市民の多数の自粛者はそんなところには出歩かずに、家でじっと外出せずにいる。少数意見を無視することはできないが、公平公正であるべき報道が、バランスを欠いた伝え方をしているように思える。

 例えば、外出自粛の要請があった週末の渋谷で、外出している若者にインタビューをしていた。どれだけの人に声を掛けて、何人がそれに応じたかはわからず、実際に放送されるのは、ほんのわずか。選択する側には意図がある。それなりにインパクトがあった方が良かろう、と想像される。そこで応える側は、ちょっとでもインパクトのあることを答えようとしたりしないか。「自粛なんか関係ないっすよー。感染るときは感染るし」みたいな。いわゆる「盛ってる」ってやつで、放送してもらいたいならそんなこともするだろう。

 さすがにここまでは私の推測上の誇張があったとしても、街の声は大多数の意見でもなければ、平均的は意見でもない。それをさも、その代表の声であるかのような錯覚を視聴者(特に年配者)に与えてしまう「街の声」なんてものは、いらないと思う。巣鴨で外出している老人にインタビューし、買い物への大変さを伝えたりしているが、大半の老人はちゃんと自宅にいるだろうし、本当に買い物が大変な人は、こうして出歩くこともできないはず。

(秀)