第2054話 ■「なるほど!」の瞬間

 新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 自分が初めて実際にインターネットに接したのは1995年春のことで、セミナー系のトークイベントを見学し、その際にデモが行われて、ブラウザーに表示されるチープな画面を見た。噂のインターネットは思ったよりも地味だった。モデムの音を耳にして、パソコン通信に画像表示が可能になったくらいの印象しかなかった。早速、「インターネットマガジン」なる雑誌を買ってみたりしたが、概念的なことは理解できても、技術的な情報はほとんど理解できなかった。

 同年の11月にWindows95(日本語版)がリリースされた。その前後頃に、雑誌の付録だったと記憶しているが、初期のブラウザーソフトである「Mosaic(モザイク)」で適当なテキストファイルを開いてみて、HTML化していないテキストファイルでもブラウザーで文字が表示されるのを見て感動した。早速、HTMLタグ辞典を買って、簡単なページを作ってみた。HTMLファイルの仕組みが分かって、自分にとって「なるほど!」の瞬間だった。

 それからは、社内でのイントラサイトを幾つか作ってみた。データーベースソフトを使って、翌年からの年末には妻の実家の商売である蒲鉾を売るサイト(社内知人への限定販売)を作ったりもした。興味と関心により独学で進め、それが今となっては、職業となって生活を支える技術やノウハウになった。考えてみれば、今自分がやっている仕事など、子どもの頃はもちろん、社会人になった当初する存在していなかった。

 何事も最初は誰かに習ってみたりすることが必要な場合もある。ただ、パソコン関連の講習など、その時はできても、後になって独力で復習しようにもうまく思い出せない場合がある。テキストに載っていること以外のことができて、ようやく何かしらが掴めたような気がする。結局は独力で「なるほど!」という状況にたどり着かないと自らのものにならない。

 様々なシーンにおける、この「なるほど!」という瞬間が今でも心地良い。まだまだ伸びしろがあるってことだろうと勝手に喜んでいる。今年も、そしてこれから先もそうありたい。

(秀)