第2056話 ■カフェイン断ち

 子どもの頃、寝たら次の瞬間は朝だった。たまに夢を見たりもしたが。「もういくつ寝るとお正月」とか、遠足前夜のような明日が待ち遠しい時には、目を閉じて明日の朝が来るのを待った。まるで寝てから起きるまでの時間が存在しないような、ある種タイムスリップの感覚だったのかもしれない。やがて、夜中に目が覚めたり、夜更かしして夜の時間が実際に存在していたことを自覚していく。

 先月からもう3週間くらい、カフェイン断ちをしている。それまでも肩凝りの自覚症状が強くなると数日間コーヒーを控えることをしてきたが、今回はかなり徹底している。コーヒー、緑茶、紅茶等を飲まない。コーヒーを飲みたいときはカフェインレスのものにし、そもそも飲む回数を大幅に減らした。ただ、まったくカフェインがなくなっているわけではなく、数パーセントは含まれている。コーラも飲まない。コーラに含まれるカフェインはコーヒーの約6分の1らしい。ノンカフェインのコーラもあるものの、あわせてノンシュガーとあって、甘味料の関係か味に馴染まない。栄養ドリンクなども飲まない。鎮痛剤も無水カフェインが含まれていないものを選ぶ。

 これにより、肩凝りはずいぶんと楽になった。しかしそれ以上に効果があったのは、睡眠の質が大幅に向上したことだ。よく眠れる。寝入ったと思ったら、もう朝、ってことが何度もあった。冒頭の子どもの頃の感覚が戻ってきた。イライラすることも減った。ある日急に何かが変わった、というはっきりとした印象はなかったが、次第に良く眠れるようになってきた。

 ただ、良いことばかりではなかった。カフェイン断ちをはじめて1週間くらいは好転反応でどうもシャキッとしない。頭が痛くなる人がいるらしいが、自分の場合は歯が痛くなって、年末に歯医者に駆け込んだ。カフェイン断ちなんか止めてしまった方が楽だなあ、と思ってみたが実験の意味も含めて継続した。

 睡眠の質が向上すれば、睡眠時間を次第に減らすことも可能なのだろうか?。一方で、その時間調整により新たなストレスが生じるのではないかと別の危惧が発生する。とりあえず、寝たらすぐ朝、という感覚を楽しむためにカフェイン断ちを継続しようと思う。幸いにも目覚ましなど必要ない生活がありがたい。

(秀)