第2066話 ■在宅勤務本来のアウトプット?

 在宅勤務とかリモートワークというのはけっこう大変なことだ。在宅勤務8年目の私が断言する。まず、一人暮らしならまだしも、家族と一緒に暮らしているとすると、場所の問題がある。高校の同期会の件で、昨年何回もビデオ会議を行ったが、自室を持っている人は少数で、リビングとか子供部屋を借りて、という参加が多かった。中には、マンションの集会室からという強者もいた。

 お父さんだけならまだしも、お母さんもとなると、リビングで向かい合ってパソコンを並べ、それぞれの会社のビデオ会議というのもなかなか難しいのではなかろうか?。時間がかぶってしまっていると、どうするんだろう?。片方が寝室から参加というわけにもいかないだろうし、子供部屋に逃げ込むのか?。私たちの年代では、子どもたちも働いていて、彼らも在宅勤務となることもある。通勤時間が無くなるのは嬉しいが、個々の事情で喜んでばかりではいられない人が相当数いるのではないかと思う。

 在宅勤務の状態で、会社は個々の仕事のプロセスを細かく管理することは難しいし、そこに必要以上のコストを掛けるわけにはいかないだろうから、成果で評価する傾向が強まる。労働時間に関わらず、結果さえ出していれば良し。一方、だらだらと終わらなければ、就業時間など関係なく働き続けることになる。残業時間なんてなくなり、収入は概ね減少する。ただでさえ、やる気の維持が大変な時期に、これでは元気もなくなってしまう。

 自分で黙々と仕事ができる人なら良いが、従来の様に会社でないと働けない人、人に見張られていないと仕事ができない人、言われたことだけやっている方が楽な人。このような人は大変だろう。きっとこれからは企業が求めてくる人材の素養というのが大きく変わってくるはず。在宅でもうまく仕事がこなせる人の評価やニーズが高まり、これまで、それとなく仕事をしているように見えても、結果が出せていなかった人があぶりだされていく。

 短期的な在宅ワークを切り抜けるだけでなく、個人も会社も試されている時期だ。いずれもこれを機に、中長期的な視点から、あるべき姿を考え、必要によっては変革しなければならない。会社はコストカットになる反面、新たな就業スタイルでの仕事のやり方を社員教育のカリキュラムに組み込む必要がある。これを無視したり、後回しにしている企業は衰退していくことだろう。在宅でもうまく仕事がこなせたり、そっちの方が自分に向いている人は、単一の企業の枠に収まらず、複業化や独立へと流れる可能性もある。

 例えば10年後。いや、早ければ5年後。働く環境は大きく変化しているだろう。そしてそれに伴う住む環境の変化とか。そのとき、自分はどこで雑文を書き続けているだろうか?。

(秀)