第1061話 ■三角大福中

 最近の政局について。自民党の総裁選挙の最中であるが、大方の予想どころか、本人すら勝利宣言を出し、マスコミの関心は既に組閣人事や党人事に移っている。そして更には衆議院の解散総選挙へとその当事者達の関心は移っている。多少景気は回復の兆しを見せているが、別に政府が何かをやってくれたような記憶はない。むしろ税金のばら撒きをしないことが都市部での小泉の支持に繋がっているらしい。要は「無駄なことはするな。ほっといてくれ!」。別に改革路線が支持されているとは思えない。

 それにしても総裁選が盛り上がらない。タマ不足。かつてはニューリーダーや次の総裁や次の次を争うような人材がたくさんいたはず。それが今はいない。もし小泉政権が倒れたときの後がまが見当たらないのだ。まさか、亀井静香でもあるまい。山崎拓も。黙って順番を待っていれば良かった加藤紘一もあの謀反でミソを付けてしまった。

 かつて佐藤総理の後継の座を争った人々に「三角大福中」という人達がいた(最初は「三角大福」だったようだが)。そしていずれも総理・総裁になった。三木、田中(角栄)、大平、福田、中曽根。主要な大臣ポストを歴任し、党幹事長を経て総裁というスタイルが基本形だった。ところが最近は幹事長は到達点、あがりのポストと成り変ってしまっている。

 その背景は派閥政治の変化であろう。ただ、それが終焉を意味しているのかどうかは分からない。派閥を軸に総裁候補を出し、大臣ポストを分け合う。是非はさておき、非常に分かりやすい構図だった。そんな中、昭和57年の総裁選は前代未聞。派閥間の調整がつかず、党員による大掛かりな投票による総裁選挙が行われ、その模様がテレビで中継された。その結果選出されたのが中曽根康弘だった。

 自民党の党則の内容までは知らないが記録によると総裁選ではなく、両院議員総会で選出されるケース(総裁任期途中の辞任の場合?)や総裁選中に候補者全員に出馬取り消しの念書を取り付け、中曽根が竹下の後継指名という異例の事態もあった。さあいよいよ総裁選の投開票を迎える。野中広務が最後に「反小泉、小泉政権の否定」のために何かやってくれるかと思ったが、これじゃあ犬死だなあ。

(秀)