第1146話 ■スタイラス・ペン

 電子手帳を使っている。主にスケジュール管理が目的だが、メールも読めれば、Webを見ることもできる。そして何よりも、こうしてコラムを書くことができるし、FTPで自分のホームページのメンテナンスもできる(あまりやらないが)。さながらパソコン並であるが、それは当然、Linuxで動いているから。パソコンを小型化したこの手の電子手帳は数多く出ているが、私の場合、キーボードが欠かせない。手書入力では長文が打てないから。

 入力方法はキーボードだけではなく、ペンなどによる画面タッチもある。本体に格納された専用ペンをスライドさせて取り出し、そのペンで画面に触れる。このペンはスタイラス・ペンと呼ばれる。それにしてもちゃちなペンだ。細いし、短い。そしてプラスチックのそのペンをしばらく眺めていると、ちょっと懐かしい感じがしてきた。

 何という名前なのか分からないが、黒い粘着質の紙の上に乳白色のシートが貼られていて、その上をプラスチックのペンで文字や絵を書くとその文字や絵が姿を現すというものがあった。ペンで書くことでシートを粘着質の部分に圧着させ、その部分が黒く見える仕掛けである。上のシートを摘んで一旦はがすとそれは消える。かつて、幼稚園児向けや小学校低学年向けの学習雑誌の付録として手にしていた。

 そのペンが電子手帳のスタイラス・ペンに似ていた。いや、時系列的には、スタイラス・ペンの方が似ている、と言うのが正しいだろう。ところで、かつての名も分からぬ筆記玩具のペンをしばしば紛失した。そんなときは代替品として、マッチ棒を使用したものだ。電子手帳の方はこうもいかない。実際に紛失して大変不便だったため、今ではスペアが2本控えている。

(秀)