第1211話 ■マスコミの暴走

 先日の福知山線の事故当日、JR西日本の車掌(管轄区は別)が慰安のボウリング大会をやっていたと報じられている。言語道断の話であるが、今回はそれを報道する側の異常ぶりに辟易。その後、飲み会に行ったのが何人。さらに二次会に行ったのは何人。直接事故には関係ないことでありながら、まるで鬼の首でも取ったかのような執拗さだ。

 もちろん、慰安ボウリングなど自重すべきことは当然だったのだが、JR西日本の対応もまずかった。全くの弱腰である。何もかも喋ることが危機管理においては正しくないこともある。後からばれたら大変なことになる、との考えだろうが、事故関係の上司や責任者が慰安会をやっていたわけではない。同じことをやってもタイミングが悪い理由で処罰されてはたまらない。

 このときのJR西日本の記者会見の様子がテレビで流れたが記者たちのタチの悪いこと。「遺族も見てるぞ!」、などと被害者の名を借りて恫喝している。遺族にとってはこんなことは知らされない方が、穏やかでいられるのではなかろうか。これでは誰のための記者会見で、誰のための記者か、本質を欠いている。記者も身分を明らかにし、テレビではテロップで彼らの所属する会社を明示したほうが良い。きっと、その会社に対して多くの人が不買意識を持つに違いないから。

 それとあの事故以来、他でのオーバーランの状況が次々に報じられている。これまで日常的に起きていても、取るに足らなかったことが、こと細かに記事にされる。その執拗さが運転士たちを追い込んでいるやもしれないのに。今度はマスコミが暴走している。

<原案初出:秀ブログ2005/05/06>

(秀)