第1212話 ■白い羽根の行方

 そう言えば、5月は赤十字運動月間だったはず。小さな赤十字のマークが付いた白い羽根が配られ、幾ばくかの募金をする。私の記憶が正しければ、緑の羽根が6月。それに最もメジャーな赤い羽根は10月だ。何故こんなことを記憶しているかと言うと、中学生のときに少年赤十字の活動をしていたからである。

 学校で羽根が配られると、約半数の男子が刻んだ消しゴムを羽根の針に通し、教室の後ろの掲示板を的にダーツゲームが始まる。担任教師からはその危険性について、真偽のほどは定かではないが、「その針が目に当たって、失明した人がいる」と聞かされる。目に当たった人がいるかどうかは分からないが、的にされて体にその針を受けた人はいるだろう。いつからか羽根から針がなくなり、シールになった。

 赤い羽根はさすがにメジャーで10月1日にNHKのニュースを見るとキャスターが胸に飾っている。総理大臣も付けている。ところが一般市民が羽根を付けていることはほとんどない。民放のキャスターが付けていたのを見た記憶もない。これが白い羽根や緑の羽根となると付けている人を見つけるのが大変なくらいマイナーなものになる。ここ数年、白い羽根など見たことがない。子供も学校からもらってこないし。「そう言えば」どころではない。白い羽根はどこへ行ったか?。

(秀)