第1261話 ■黒板消し

 黒板消しとの最初の出会いは保育園でのことだった。それは黒板の出会いと等しい。当時、黒板は先生が使う神聖なもので、自然と黒板消しも先生が使用するものと限られた。それがやがて小学校に上がって、黒板に答えなどを板書するようになると、休み時間や放課後などにチョークで黒板に落書きをするようになり黒板消しの使用度も増した。

 日直となると授業の後に黒板を消して、その後に窓を開け、その黒板消しをはたいておかないといけない。両手に持ってパタパタと顔をちょっとそむけながら、風向きによっては粉を吸い込んで咳き込みながらパタパタとやる。掃除の時間にも掃除当番がこれをやる。

 また黒板消しはいたずらのツールになる。黒板消し落としだ。教室の入り口の戸に挟んで誰かが来るのを待っている。ドラマや漫画ではちょうど良いタイミングで頭の落ちることになっているが、私の経験では戸を開けた途端に、目の前で落下してしまい、うまくヒットしたことは一度もなかった。

 その他にも黒板消しは遊びのツールになった。黒板消しの背の部分がプラスチックのものが登場し、これを卓球のラケット代りに、教卓をテーブルに、黒板用の大きな定規をネット代りに立て、ピンポン玉を打ち合った。

 その後、かつての日直のパタパタは黒板消しクリーナーになった。私はこれに高校生になって初めて遭遇した。要は掃除機である。よってうるさかった。

(秀)