第1271話 ■往生際

 何事もものごとにはタイミングというものがある。永田衆議院議員。こいつは相当往生際が悪い。例のホリエモン送金メール事件でごたごたを起こし、メールが偽物と分かった当初は自ら議員辞職を口にしていたが、民主党の執行部からとりなされて、「執行部に一任」などとすぐに翻意した。そして懲罰委員会。

 そこでまた事件だ。永田議員がその送金メールの提供者の実名を委員会で白状した。これまで「秘匿」を決め込んでいたにもかかわらず、ここにきてあっさりのゲロ。これまた翻意である。白状に至った理由は「偽メールを掴まされたからには、信頼関係がなくなった」としている。偽かどうかの判断が十分できずに、人に迷惑を掛けておきながらここにきて被害者の顔をしている。

 暴露された相手は証人喚問されることになった。偽メール自体は悪い話だが何も国会に呼び出されて晒し者となって証人喚問されるのでは割に合わない。名前が出ただけでジャーナリストとしての生命は終わり、現在の社会的地位もふっとんでしまう。それに対して永田議員は議員を辞職する気はないようだ。むしろ自分の立場を守るために元記者の名前を売った格好に見える。これに対し、元記者は「事実無根」と言っている。それで証人喚問されるわけであるが、それなら喚問の場でも「事実無根」と言って欲しい。それはそれで面白い。

 この事実無根発言に対し、永田議員は「自分の政治生命を掛けてでも真実だ」と言っているらしいが、彼の政治生命なんかとうには尽きている。最初の辞職を口にしたところで議員を辞めていたら、まだ再起の可能性もあっただろうが、ここに至ってはそうもいかない。永田議員に次はない。それに何よりも民主党、特に前原代表の腰が引けているようで、BSEや耐震データ偽造問題などが吹き飛んだ、凪状態の国会にも腹が立つ。

 私の周りでは「あれは自民党がしくんで永田議員の所にメールを持って行ったに違いない」という意見があった。あくまでもネタで。

(秀)