第1313話 ■ビスタの待ち

 昨年末のボーナス商戦期にパソコンはウィンドウズ・ビスタの出荷の遅れで待ったが掛かった状態になった。年が明け、ビスタはリリースされ、パソコンの出荷も回復したに見えたがわずかの期間に減速してしまい、今では前年割れに陥っているらしい。

 確かに身の回りにビスタパソコンを買った人やOSをビスタにバージョンアップしたという話は聞いていない。結局のところ、「ビスタで何ができるのか?」が訴求されておらず、「新しいOSが出たのでそれをインストールして売っています」という感じしかしない。立体的にウィンドウを表示させるためだけに大枚をはたくのは非常に惜しい。

 ビスタリリースから1週間ぐらいの後に秋葉原に出掛けたが、展示機(もちろん新品)の大半はXPマシンで「今なら安い!」といった具合であった。雑誌でも「今導入するか、待つべきか」、なんて特集まで組んでいる始末。

 そんな中、唯一私が注目しているのがリビングPCやテレビサイドPCなどと呼ばれている製品である。区分としてはデスクトップPCになるだろうが、このパソコンにはモニターがない。テレビを使用するのだ。ディスプレィが複数あるのは無駄だし、描画についてもPC専用の液晶よりもテレビの液晶の方が一日の長がある。ついでにテレビの大画面での表示は魅力だ。

 私にとってこのように大変魅力的だが、ちょっとここで考え直す。いったいこのパソコンを何に使うのかと。大画面でブラウザーを開いて、最初は面白いかもしれないがすぐに飽きてしまいそうだ。パソコンとテレビが融合することのメリットが感じられそうにない。やはりテレビなのだから動画を映したいのが本望だろう。

 このスタイルのキラーコンテンツはやはりビデオ・オン・デマンドだろう。テレビパソコンで見たいコンテンツを探し、決済などを行い、それを大画面のテレビで見る。このスタイルが一般化するにはあと何年くらいかかることだろうか?。今パソコンを買ってもその頃には古くなってしまい役に立たなくなってしまっているかも。ハード先行でソリューションが間に合っていない例である。

(秀)