第1314話 ■腕時計マイブーム

 今ではちょっと旬を過ぎてしまったが、少し前の私のマイブームは「腕時計」だった。妻の父親の形見となっているウォルサムの腕時計を「せっかくだから使って」と妻に言われたことがそもそものきっかけである。自動巻きのその腕時計は何度も巻いてみるが、すぐに止まってしまう。長らく放置されていたため、オーバーホールに出すことにした。

 そのオーバーホールが終わって戻ってくるまでに、痛んだベルトを換えるために買い求めた。金色の時計に対し、茶色のトカゲ革風(本当の革は高く、プリントものにした)のベルト。それにバックル部分は金属のベルトのようにパチンと留められるバックル(通称:Dバックル)にした。このDバックルは気に入って、革ベルトのものは全てをそれに交換した。それと自動巻きの時計を自動的に巻き上げる装置(オートワインダー)。仕上げは裏蓋を開けたり、金属ベルトのコマを調整できる工具などのセットを買った。オーバーホールから戻ってきた時計と準備していたベルトとのコンビネーションはバッチリだった。

 いつもは正確を旨とした電波時計やクォーツの時計ばかり使用していたが、こうして自動巻きの時計というのも、ちょっと和む。正確さはさておき、高価な自動巻きの時計が多くの人に支持されているのが何となく分かった。ところで、私が買ったオートワインダーは2個を格納できるタイプだ。ウォルサムだけでは片方空いたままだ。そこで、安いものだったがもう1つ自動巻きの腕時計を買った。

 こうして今私が所有している腕時計は8個になった。日替わりでも1週間では収まらなくなった。せめてもの言い訳は全てを足してもロレックス1個にも及ばないことだ。さて、こんなマイブームも1ヶ月程を経て衰退してしまった。飽きてしまったのだ。時計なんていじる所がなく、動いているのを眺めるのが精一杯である。このマイブームを支えるには次なる時計を買い続けないといけないような気がする。時計をコレクションしている人はこんな感じでテンションを維持しているのがなかろうか?。もちろん私にはそんな甲斐性なんかない。ひとまず一段落。

(秀)