第1317話 ■長崎市長選挙

 現役市長の銃撃殺害という(犯人以外)誰にも予測できない事件によって状況は一転した。その後、娘婿が立候補を表明したことで、この候補者が同情票を得て当選するものだと私は思った。新聞記者が事件をきっかけに市長になるというドラマチックな展開を予想した訳である。実は先週にこのような要旨でコラムを書こうかと思っていたが、書きそびれてしまっていた。

 ところが結果は同日に補充で立候補を表明した、市の課長が当選した。僅差であった。娘婿敗北の理由をテレビで解説していたが、そこでは立候補表明の最初の記者会見がまずかった、と伝えていた。そのVTRを見たが、この娘婿、こんな状況でありながら、ちょっとニヤけていた。当選を予期していたせいであろうか。しかし、状況が状況なだけに、こんなところでニヤついていてはいけない。それに、記者の「市長の公約を知っているか?」という問いに「これから」と答えていた。突然のことなのでそれが当然かも知れないが、公約も知らないままの後継は不信感につながる。結局この娘婿は情に訴えるしかなかった。喪服に市長の写真を持ち出しての選挙戦。ちょっとしつこい様な感じさえ私は受けた。地元民はどうだったのだろうか?。

 一方、「課長」は短い間にも関わらず、準備不足でありながらも、受け皿として機能し、うまく支持をまとめることができた。通常、立候補の補充は後継者だけになる場合が多く、今回は便乗立候補と私の目には映った。まさかそんな候補者が当選するとは!。

 今回の娘婿の悲劇は期日前投票にもあった。票差953票に対し、1万5千票にも上る無効票が出た。このうち、いくつが伊藤市長と書かれていたのか分からないが、これが期日前投票でなく、投票日当日に投票していたら、おそらく多くは娘婿に流れていただろう。

 娘婿が苦戦してしまったのは、候補者自身によるものか、伊藤市長への評価がこの程度のものだったのか?。地元にも馴染みがないし、後継というほどではなかったということでもあろう。娘は落選が決まった後に崩れ落ちるように倒れてしまった。当選を信じていたせいであろうか。伊藤陣営は「運が悪い」という言葉で片づけらないかも知れないが、そのような結果になってしまったのは事実である。あの事件さえなかったら、おそらく伊藤市長が当選していたであろう。全てにおいて不幸であった。

(秀)