第1336話 ■コピー9で喜ぶな

 地上波デジタル放送をレコーダーでHDDに録画した場合、現在そのコンテンツはコピー禁止でDVDに移動することだけができ、レコーダーのHDDからは自動的に削除される。BSなどのデジタル波の場合も同様。これが非常に不評で今後9回までコピー可、というルールに変更されるらしい。通称、「コピー9(ナイン)」と呼ばれている。

 けどね、確かに移動よりはコピーできる方がうれしいが、コピーできたDVDのフォーマットについて何も伝わってこない。現行、コピー禁止のコンテンツをHDDからDVDに移動する場合は、市販されているDVDのフォーマット(DVDビデオという)とは異なり、CPRMという著作権保護の仕様に対応した、DVD−VRモードというフォーマットでないといけない。かつてはこのVRモードに対応したメディアはDVD−RAMとDVD−RWであったが、最近はDVD−Rでも一部対応するようになった。

 ところが、である。このVRモードで焼かれたメディアはDVDレコーダーでは再生できるが、再生専用のDVDプレーヤーとなると現在ほとんどが再生できない。例えば、ポータブルタイプの液晶画面付きDVDプレーヤーやDVD再生機能を持ったカーナビではほとんどの場合、このVRモードのメディアは再生できない。

 私は先月、カーナビを載せ換えた。目的は大きく2つ。1つはテレビを地デジ対応にすることで、もう1つはDVD−VRモードのメディアを再生できるようにすること。いずれ標準的な仕様となるだろうが、敢えてそれを先取りした。しかし現時点ではこれらの条件をともに満たすのは1機種しかない。

 そもそも、デジタルコンテンツのコピー可能回数が9回もある必要なんかないと私は思っている。コピー可能回数が何回であるかの論議よりも、私はダビングした際のDVDのフォーマットに注目している。これからますますデジタル波対応レコーダーのユーザが増えると、このあたりの情報に詳しくない人もユーザとなっていく。たとえ9回コピーが可能であろうと、それがDVD−VRモードのフォーマットであれば、面倒なことになる。同じディスク形状でありなら、プレーヤーによって再生できたり、できなかったりといった混乱が起きる。世のDVDプレーヤーのほとんどがこれらに対応できるまでそれは続くであろう。

(秀)