第1357話 ■−6%どころか

 地球温暖化対策として、日本は京都議定書で温室効果ガスの6%を削減することを約束しているが、実際にはこの間に8%増えてしまったらしい。6万円借金を返さなければならないところ、逆に8万円借金してしまった。6キロダイエットするはずが、逆に8キロ太ってしまった。こんなたとえは果たして的確か?。

 やはりこの推進キャンペーンがまずいと思う。具体的な数値目標は提示されており、例えば夏の冷房は28度以上にしましょう、とか、シャワーを1分間少なくしましょう、とか言われているが、その効果の貢献具合がイメージできない。例えば、レジ袋1枚を断ると、61グラムの二酸化炭素を削減できるらしいが、その61グラムの削減が全体の目標にどれぐらい影響があるのか、国民全員が1年間実行すればどれぐらいの効果になるのかが分からない。そもそも61グラムの二酸化炭素の量というのがイメージできない。

 そして、6%削減を前提として我々は今の生活をどのように変えていく必要があるのかを示して欲しい。もし、これらが既に示されているとしても国民の大部分が知らない状態では、示されていないのと同じだ。例えば、割り箸を使用しないことがどれだけ効果があるか、自動車をハイブリッド車にするとどうか、太陽光発電を利用するとどうか、オール電化にするとどうか、家庭用生ごみ処理機の効果はどうか、などを具体的に示して欲しい。

 しかし、結局これらが上手くいかないことの根本は大企業の利害だと思う。いくら電力会社や石油会社、自動車会社が地球環境に対する働きかけをしたところで、結局は私企業として、利潤の追及を掲げていることに変わりない。企業として年々成長していくことを前提に経営が行われており、経営規模を6%削減しても良いという会社など存在しない。電力会社においては「だったら、原子力発電が良いですよ」という口実を与えることにもなる。他の企業のほとんども地球環境に配慮はしていながらも、自社の売上や利益を犠牲にしてまでは貢献しようとは思わないはずだ。それなのに、冷房をどうしましょうとか、レジ袋を断りましょうと転嫁している。キャンペーン全体での具体的な計画が明らかにされないのは企業経営のタブーにさわってしまうからだろう。

 細かなアクションでもそれが温暖化対策の意識の喚起につながればそれはそれなりの意味があることだと思う。しかし、具体的な効果や貢献が分からないままでは、「私は地球環境に配慮しています」といった、単なる自己のエコ意識の自己満足で終わってしまうかもしれない。それと何より、企業がまず6%削減の効果を実現させる必要がある。いや、6%ではなかった、逆行した分を含め14%だ。レジ袋の削減なんかで満足していてはいけない。

(秀)