第1462話 ■日銀総裁
現福井日銀総裁の任期が今日で切れるため、この総裁職がしばらくの間空席になることが確実になった。参議院で民主党はじめ野党が候補者に対して不同意であるため、膠着状態に陥っている。どうやら民主党は候補者が財務省(旧大蔵省)出身者であることを反対の理由にしているようだ。この事態に対し、政府と自民党はさも民主党が悪いかのよう仕立てているが、それはおかしい。同意しない方が悪いというのなら、そもそも国会同意人事の意味がない。
通常ならば政府案で即決まっていたことだろう。それが衆議院での予算案の強行採決で一転した。予算案ももちろん大切だが、強行突破するならその後の事態に備えて準備をしておくべきで、今回のように期限があるものや衆議院での再決議が機能しないものについては事前に対応を済ませておくべきだった。対テロ特措法の件も同様。参議院で過半数が維持できないと分かっていただろうから、あるいはそれに備えて選挙前に決議しておかねばならなかったと思う。
私が今回最も注目したいのは今回の日銀総裁選びで翻弄された人たちだ。差し替えで急遽候補に挙がった人はさておき、本命視されていた武藤副総裁はまさに翻弄された。本来なら武藤副総裁は総裁に昇格して、もうひと花咲かせるはずだったろうに、参議院選挙の結果、または衆議院での予算案の強行採決の結果、その夢は叶わなくなった。
会社でもトップ人事は様々な要素が絡んでいるのは事実だ。運と言ってしまえばそれまでだが、まだ当事者はそれに関わることができる。しかし、日銀総裁の人事においては国会が決めるだけで、当人はその決定に対して働きかけができない。棚の下で落ちてくるぼた餅を受け止め、ほおばるのは果たした誰なのだろうか?。
(秀)
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