第1479話 ■裁判傍聴2008春(2)
さすがに1日で7本(?)の裁判を傍聴すると、記憶の方が混乱してくる。傍聴している方がこうなんだから、裁判官なんかもっと大変なんだろう。この日、若い女性の裁判官は5本の裁判をやっていた。それでも日本の裁判は遅い、なんて言われるんだから可哀想なもんだ。
というわけで、今回は混乱しないように裁判が終わる度に記録を取ることにした(昨年の傍聴時は1日に見た本数が少なかったので、そこまではやっていない)。かと言って筆記用具を持参しておらず、手元には電子手帳と言うか、PDAがあるのみ。小さなキーボードをカタカタとやる。法廷でメモを取るのは可能であるが、パソコンを開くことはできない(らしい)。よって、1つ終わる度に廊下に出て、記憶した範囲のことを記録する。
順序が逆になったが、この日最初に見た裁判は窃盗事件だった。被告人は30歳代後半の男性。開廷時刻に裁判官が現れたが、検察官が来ていない。裁判官が書記官に促し、検察庁に内線電話を掛けた。傍聴席からは普段見えないが、書記官席には内線電話が備えられていた。傍聴席は私だけ。裁判官が書記官を通じ、弁護人に確認する。「傍聴席の方は証人の方ですか?」。もちろん、弁護人は否定した。
結局、検察官は6分遅れで現れた。早速、人定質問と起訴状の朗読へと続く。事件はいわゆる万引きだった。スーパーで千数百円分の商品を窃取したころを店員と客により現行犯逮捕されている。ただこれだけでスーパーとも示談が成立していようものなら、不起訴や起訴猶予というケースかもしれないが、今回、被告人は前科前歴三犯。2度の服役経験がある。
懲役1年6月の求刑。即日結審。次回判決公判までにスーパーと示談をする見通しと弁護人は話しているが、実刑は免れないだろう。
続いては法廷を変えての傍聴。これまた窃盗事件である。被告人は60歳代半ばの男性。傍聴席には私の他に、被告人よりもやや年上と思われる女性が一人。起訴状によると被告人は他人の庭先から盆栽ばかりを盗み出し、それを業者などに売り払って金銭を得ていた。起訴された分だけで3件、被害総額115万円とある。
途中傍聴席の女性が内縁の妻として証人席に立って、情状酌量を訴える。ただそれだけの事件だったが、この被告人には六犯の前科と3回の服役経験があった。しかも換金目的の窃盗は罪が重いらしい。よって求刑は懲役2年。実刑は間違いないだろう。これまた即日結審するものの、判決は後日と、歯切れの悪い終わり方をした。
傍聴記まだ続く。
(秀)
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