第1522話 ■コールセンターのお仕事

 コールセンターの仕事はつくづく大変だなあ、と思う。ここ数日私のデスクトップPCのキーボードの調子が悪い。Enterキーを押したときに引っかかりがあって、場合によってはキーが元に戻ってこず、改行が連続して何度も入力される。キートップを外して付け替えたりしてみたが、症状はいっこうに改善されない。頻繁に使うキーなのでこれが使えないと話にならない。

 外したキートップの裏側をよくよく見てみると、プラスチックの爪となっている部分が1つは折れかかり、1つは途中で曲がってしまっていた。折れかかっているものを瞬間接着剤で固定し、曲がっている方も曲がっているところを伸ばしながら、ふらついていたのでこれも接着剤で固定し、乾かした。

 十分に乾いたところでキートップを元に戻したら、接着剤で修復するときよりも状態は悪くなり、二度とキーは跳ね返ってこなくなった。悪いのはキートップのみでキーボード本体には何ら異常はない。ならばこのEnterのキートップだけを購入することができないかとメーカーのコールセンターに電話をすることにした。

 便利なことに24時間365日対応してくれている。電話の相手が出るまで多少待たされたが腹が立つほどではなかった。早速状況を話すと相手は状況をすぐに理解してくれて、キートップだけの販売が可能かどうかを、電話を一旦保留にして確認してくれた。「キートップだけを販売することはできません」、「新品のキーボードをお届けするとなると7,350円です」、「キーボードをお預かりして修理すると1万2千円ほどになります」と言われた。

 ちょっと待ってくれ。キートップが1つ具合が悪いだけで、キーボードごと交換する必要はないことを何度か訴えたが埒があかなかった。応対に出てくれたその女性が自分の考えでそう言っているわけではなく、そう言わされているわけだから、あまり強く言うのは可哀想に思えて電話を置くことにした。

 それ程の金額を出すのが惜しくなって、キートップの引っ掛かりを丁寧にカッターで除去したところ、Enterキーはまた元のように跳ね返ってくれるようになったので一安心。

 今晩私の電話に応対してくれた人は今日だけでどれくらいのコールを受けるのだろうか?。その多くが社員ではなく、契約社員や派遣社員だと聞く。ストレスも多く、長く続けられる職種ではないので、会社はこのような形で人を集めている。会社に言わされて、そのせいでお客さんには怒られ、しかも深夜の勤務。コールセンターの仕事はつくづく大変だなあ、と思う。

(秀)