第1534話 ■ワープロ
- 2008.07.10
- コラム
私が自分でワープロを買ったのは大学四年になった当初のことで、卒論やゼミのレポートを書くことを目的に、約8万円をバイト代から投資して買った。デスクトップ機でそこそこ行数もあったのでとりあえず、操作性で困ることはなかった。その当時のワープロの性能では「○○ドット」と、印字のフォントのドット数の多さが大きなポイントだった。私の機種は32ドットだった。今思えば相当奇妙なことに、私はローマ字入力ではなく、「かな入力」でキーを叩いていた。
ワープロを使ってゼミのレポートを書くようになると、毎回のレポートが蓄えとなって、いざ卒論を書くとなると過去のレポートを再利用することで効率良く原稿をまとめ上げることができた。途中の箇所の文章を書き換えるなど、手書きに比べれば雲泥の差である。もちろん、今さらこれらの効用について説明することはなかろう。ただ、画面では全体のレイアウトが確認できないため、都度印刷をしてみないといけない。
当時のワープロの大きな欠点はこの印刷のコストだと思う。インクリボンは思ったほど早く使い切ってしまうし、値段もそこそこ高かった。カセットテープのように一方の端にリボンを巻き上げてしまったら、そのままひっくり返してもう一度使用できるタイプのものもあるようだが、私のワープロはそのようなことができなかった。そこでこれまたカセットテープのように、六角形の鉛筆を巻き上げの穴に差し込み、鉛筆を回してリボンを巻き戻すことをした。しかし何度も同じことを繰り返すと、インクが使われた文字の形でまだらに薄くなってくる。
そこで次なる手段は感熱紙を使用することになる。インクリボンに比べれば格段に安くなった。しかし、保存性で問題が生じる。そこで、下書きは感熱紙、清書は普通紙にインクリボンと使い分けるようにした。実家には相当量の当時のアウトプットが残っているだろうが、ほとんどが感熱紙だったため、それらは全て白紙に戻っているに違いない。
ワープロ専用機。一時代を築いたデジタル機器。同じように消え行くことが宿命だったものも今思えばいろいろあった。ポケベル、MD、レーザーディスク、etc....。
(秀)
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