第1598話 ■名機の肖像

 世にあまたあるコレクターのアイテムは、フダモノ、またはヒカリモノに分類されるそうだ。平面のものか、立体物か、という話だ。私の場合は常にヒカリモノだ。かつてはカメラにも相当はまった。

 さて、会社の先輩でカメラ好きの人がいる。普通に新しいカメラが好きなのではなく、ヴィンテージカメラと言われる類のカメラが好きで、コレクションとまではいかないだろうが、これらのカメラやレンズを買い求めては、「また買っちゃったよ」と言っている。彼が好んで買っているのは、ライカとハッセルブラッドである。

 そんな彼がテレビでこのようなヴィンテージカメラを取り上げている番組を放送していることを教えてくれた。「名機の肖像」という番組だ。BSデジタル放送のBSジャパン(テレビ東京)で、金曜日の夜の30分間の放送だ。ヴィンテージカメラに興味がない人や、このあたりの知識がない人には全く面白くない、非常にマニアックな番組となっている。この分からない人を切り捨て、一切フォローしない潔さ(乱暴さ)に敬服。

 中でも私はカメラのメンテナンスでは国内随一と思われる、浅草の「早田カメラ」の主人がカメラを分解しながら、そのカメラの機構的に優れている点などを解説してくれるコーナーが好きだ。何度もカメラをバラしては組み立てた実績を持っている人ならではの説得力がある。一介のカメラ店の主人がこれ程テレビで喋れるものかと、びっくりしてしまった。

 この番組が取り上げるカメラたちは、私が写真を趣味としていたときにも、既にヴィンテージカメラだった。当時、カメラ先進国のドイツのカメラを目指して日本のカメラメーカーが奮起し、その後日本は世界一のカメラ大国になった。これらのカメラがあったから、私が楽しんだカメラがあったと言っても過言ではない。

 私が写真を趣味としていたのは、約30年前に始まった。絞り優先、シャッター速度優先といった、自動露出の一眼レフが花盛りだった。オートフォーカスの一眼レフはまだなかった。ヴィンテージカメラが一段落したら、時代をちょっと新しくして、30年前頃のカメラをオールドカメラということで引き続き番組をやってもらいたいもんだ。

(秀)