第1614話 ■年末年始のテレビ番組が面白くない

 今年のコラム初めです。今年もどうぞ宜しくお願いします。

 さて、私の意に反して、世の中ではお笑いブームがまだ続いている。芸人の数も多いから、さぞや人的な素材は揃っているはずなのだが、去年から今年に掛けての年末年始のテレビ番組が、実に見事なくらい面白くなかった。

 まずは年末から。レコード大賞が30日に繰り上げられ、受賞者とともに番組がパッとしなかった。翌31日には紅白歌合戦が視聴率を回復したらしいが、これは他局の番組がコケただけで、紅白歌合戦がそれほど良かった感じはしていない。お笑いならお笑いなりのぶつけどころを間違えたような気がする。もはや格闘技は旬な感じはしない。クイズも年末に特番であるべき意味が分からない。

 明けて新年であるが、新しい趣向の特別番組などなく、レギュラー番組のスペシャル版がほとんどだった。これまた、お笑いかクイズが目に付いた。制作サイドの思考がどうやら止まっているらしい。特にひどかったのはフジテレビで、2日と3日の昼間にドラマ版「HERO」の再放送を流していた。

 いくら映画版の「HERO」が地上波初放送であろうと、これは行き過ぎであろう。そもそも地上波初放送であろうと、今はDVD化もされるし、そのタイミングも早い。本来この作品を見たい人は映画館で見ているだろうし、そうでない人もDVDのレンタルで見ている人が多いと思う。よくこの正月の昼間の枠でのドラマの再放送をスポンサーが承諾したもんだと、不思議でならない。あまりにも手を抜きすぎだ。実際にこの「HERO」のドラマ再放送や映画が視聴率的に成功したのかどうかは分からないが、単に視聴率が取れればそれで良いというものではなかろう。年に1度の正月の枠なのだから。

 全体的にどの番組も「金がないんだな~」って感じのものばかりだった。景気が悪くなると、スポンサーも広告費を抑えるから、今後より一層の制作費のカットが予想される。こんなときこそ、知恵を絞って、面白い番組を作ってほしいのだが、あいにくテレビ局はそのようなマインドではないようで、その様子をリアルに垣間見た年末年始だったと言える。

(秀)