第1743話 ■ビジネス書を聴く

 ある人の薦めで、今頃になって「金持ち父さん 貧乏父さん」の本を読んでいる。新品を買うのも惜しいのでブックオフで見つけて早速読み始めたが、なかなか先に進まない。ビジネス書にしては冗長的で、同じことを何度も繰り返し、ベストセラーをつかまえてはなんだが、あまり文章がうまい本とは言えない。翻訳が悪いのか、それと元々の原作が悪いのかは分からないが。

 そんな中、家電量販店のパソコンソフトのコーナーでソースネクスト社が販売している「iPod Selection ビジネス書」というソフトウェアを発見した。このソフトウェアの中身は15冊のビジネス書の内容をそれぞれ約15分間程度に要約して、その要約を読み上げたものを録音したものだ。この中に「金持ち父さん 貧乏父さん」も含まれていた。

 なかなか読み進まない本をわずか15分間聴くだけで理解できるなら、これは安いと思い、1,980円のそのソフトを買った。時間を金で買えるなら、とその時点での満足度は高かった。しかもこれ以外に14冊の要約も含まれている。

 早速家に帰り、聴いてみた。iPodがなくてもパソコンがあれば良いし、ウォークマンでもパソコンから音声ファイルをコピーして聴くことができる。さて、その中身であるが、「金持ち父さん 貧乏父さん」の自分が読んだ部分は確かに私が思った感じに要約されていた。しかし、読んでいないところは一度聴いた限りでは、内容を理解することができなかった。かと言って、もう一度聴く気にもなれない。

 声がまずいとか、音が良くないというわけではない。BGMを入れたりと工夫はされているが、目で文字を追っている時のようには内容が頭に入っていかない。そればかりか、聴き終わっての満足感が低いため、それから改めてその本を読んでみようという気持ちになれなくなってしまった。

 唯一このパッケージに含まれているコンテンツで頭の中にすんなり入っていったのは、「新装開店『キャバクラ』の経済学」という本だけだった。これでキャバクラに、はまらないという予防の費用として1,980円の支出を諦めなければならないようだ。そもそも要約でしかもそれを聴くことで理解しようという横着な考えがまずかったようだ。

(秀)