第1749話 ■105円分の知識
最近のビジネス関連書籍はだいたい千五百円前後である。ネットでの評判を手掛かりにネットで注文してしまい、しかし、届いた本が期待した内容でない場合のショックは大きい。実際に本屋で本を手にしてページをめくっていたならば、絶対に購入していないだろう。かと言って、実際にその本が陳列されている本屋を訪ね回るのも、時間と交通費の無駄だ。
あるテーマについて類似している本は多い。買いたい本のタイトルが決まっていない場合はいくつかある同テーマの本の中で最も良さそうなものを探してみる。実際に本屋でその本のページをめくって確認し、けど急いでいる時以外はすぐには買わない。とりあえず、書名を電子手帳に入力していく。対象は1つでなくても良く、いくつか同種の書名を記録していく。その後、インターネットに接続できる環境から、先程記録した本の評判と中古での販売の有無、その価格などを調べ、本当に欲しいものを中古で買う。
もう1つの私が古本を買うパターンは大手の古本屋をめぐり、105円と値付けされた本を気軽に買うやり方だ。思いついたらとりあえずカゴに入れる。すぐに読む気がなくても、構わない。まるで100円ショップでものを買うような感覚だ。そんな感じであるときは5冊、またあるときは10冊と一気に買う。最も近い大型のその古本屋は駅前にあるが、そうそう頻繁に買いたい本が入庫、しかも105円で並んでいるわけではないので、同店の別店舗まで足を延ばす。あるときは帰宅途中に途中下車したり、ちょっとコースを変えてみたりまでして。
もちろん、そこで多少高い本を買っても良いのだが、105円の本でそこそこの冊数がカゴに入っているので、わざわざ高い本を見て回るほどの気力はない。また、105円の感覚に慣れてしまうと、700円前後の古本に割高感を感じてしまう。105円コーナーはくまなく、2、3度見返して本を探すが、それ以外のところは目的のカテゴリーのところだけを見て、余程のことがないと高い本は買わない。
さて買い求めた本であるが、所詮105円である。この気楽さが良い。千五百円となると構えしまうが、それがない。全部読もうと思わなければ良いのだ。ペラペラとページをめくって、見出しだけ見るだけでも良いし。気になる章や気になる見出しの部分だけを読むのでも良い。そもそも千五百円の本ですら、頭から全てを読む必要はないのだろうが、勿体無いから頭からじっくり読んでしまう。それでいて、大したことが書いていないとなると、結局は時間の無駄で、これを金額換算すると結局は損をしている気がする。
こんな感じで最近は105円古本での読書をしている。しかし、本当の希望としては、金銭的に何の心配もなく自由に好きな本を買いあされる経済力と、実際に買った本をじっくり読むことが出来る時間的な自由が欲しい。
(秀)
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