第1783話 ■よさこい踊り

 そもそも祭りとか縁日というのは、神社や仏閣の行事を軸にしているのだろうが、最近はそれとは別に地域起こしのイベントとしての祭りも相当増えた。私が住む松戸市もこの週末に、そんな地域起こしの祭りが行われた。いわゆる、テキ屋の店は出ておらず、その代わりに地元の団体や駅前の店などが、食べ物を中心にいろいろと露天の店を出している。

 ここ数年のこの祭りのメインイベントは「よさこい踊り」である。オリジナリティや地元色のない、借り物のイベントをメインに据えることに、私自身はこれまで否定的な考えであった。参加者のほとんどが近県などからやって来ていて、地元の住民が中心というものではない。別に松戸でやる意味がなく、柏でも船橋でも、そのまま同じものができる内容に価値を見出すことができなかった。

 けど今回じっくりこのイベントを多くの見物人の中から見てみたら、多少否定的な考えが変わってきた。参加団体は各50人くらいで、それぞれが揃いの衣装に身を包み、日頃の練習の成果を披露する。子供も含まれている場合もあり、老若男女の、そんな団体が三十数チーム出てきて、順に踊り、優劣の順位を決めようというものだ。もちろん、上位入賞を狙う団体もあるだろうし、中には日頃の練習の成果を多くの人々に見てもらうだけで満足という団体もあるかもしれない。

 この日のためというわけでなく、それぞれの団体がいろいろな同様の祭りに参加して、発表を繰り返していることだろう。いったい、どれほどの練習を積んでいるのか分からないが、これだけのメンバーが集まって定期的に練習を行うことを考えれば、どこかの体育館でも借りる規模ではなかろうか。それに本番のために衣装を揃えるとなると、これまた金が掛かる。いったいいくらくらい金が掛かるのだろうか?。もはや金のことなど気にしては楽しむことのできない趣味と言える。

 踊っている人々の顔がどれも晴れやかなのである。見ている方も実に気持ち良く、清々しい気分のなれる。けど、見ている人より、踊っている本人たちが数倍楽しんでいるはず。アドレナリン出っ放しなのだろう、きっと。こんなときにこそ、それぞれの個人の本質が出てくる。モチベーションが金銭に絡まず、やりたいことを同じ考えの仲間たちと出来るということは実に素晴らしいことだ。

(秀)