第1811話 ■平成の記録をまとめてみる

 秀コラムとして、日々書き集めた原稿から昭和期に関するものを選んで、以前自己流の「昭和記」をリリースした(「R35」~昭和コラム缶、として2007年に自費出版)。一方、平成も25年目を迎えて、既に平成の初期は懐かしい時間帯に入っていることに気が付いた。その頃に生まれた子供の成長を見ると特にそう思うし、自分も歳を取ったものだと改めて思う。それもそのはず、昭和っ子だと思っていた自分の人生も既に昭和で生きた時代よりも平成で生きた時代の方が長く、逆転してしまったのだから。現時点からの半生記が平成の記録をまとめることになる。

 昭和の終わりと平成の始まりは、自粛ムードながら、国内経済は非常に好調だった。但し、この好調は具体的な裏付けを持った形での経済成長ではなかったので、いつの間にかこれらを「バブル」と呼ぶことになった。やがて、周知の通り、バブルは弾けてしまい、一部の銀行が潰れ、多くの金融関連企業が合併などを繰り返し、何とか危機を凌いできたような状況である。

 一時期にITバブルはあったけれども、国民の多くがそれを実感することは残念ながらなかった。そんな中、国の借金は膨大に膨れ上がり、少子高齢化の未来に大きな暗雲が立ち込めている。そういう意味において、今の若い人々は生まれた時から景気が良かった時を実感することなく、そのまま就職氷河期を迎えた可哀想な世代である。改めて、今の諸問題がいつ頃から顕在化したのか、何が原因だったのかを忘れてはならない。

 これが平成の本当に大まかな流れであるが、どんな時代でも精一杯生きてきた、我々が生きた時代を記録しておこうと思った。新たな秀コラムの一つの指針である。昭和記は自分の原体験を軸に書いてきたが、平成記は原体験のみではなく、テレビの向こうで見聞きし感じたことや、実際の社会の中でちょっとすれ違った感じのこともまとめてみたいと思う。自分を含む、多くの人々の脳裏から平成初期の記憶がバブルとなって消えてしまわないうちに。

(秀)