第1943話 ■うどんとそばと出汁の関係

 人生の半分以上を関東で暮らしている。上京当時、あんなに抵抗があった濃い出汁のそばも、やがて、十分に味を楽しめるようになった。逆に今となっては、とんこつラーメンの味への親しみが次第に薄れてしまい、九州に帰った際に食べても、味に若干の違和感を感じるようになってしまっている。

 九州には、そば屋があまりない。うどん屋で多少そばを出しているところがある感じだ。出汁は薄口。温かいそばも、うどんと同じ出汁ですする。基本的にそばを食べることはあまりない。上京当初、いつもの感じでうどんを注文すると濃い出汁に浸かったそれが出てくる。「おいしくないなあ~」と、「みんなこんなうどんを食っているのか?」と思った。今では関東でも、讃岐うどんの店が増えたが、それまでは、うどん屋はあまり多くなく、そば屋でうどんを食べる人はあまりいなかったのでは、と思う。

 関東の出汁にはそばが合う。西の薄口の出汁にはうどんが合う。例えばこれをクロスさせて、薄口出汁のそば、濃口出汁のうどんとしたところにミスマッチがあった。あくまでも個人的な感想だが。

(秀)