第253話 ■ウルトラマンランド

 そのウルトラマンの王国は、九州は熊本県荒尾市にある。どうしてこんなところにウルトラマンの王国があるのかと言うと、円谷氏の出身地だとか聞いたような気がする。但し、確認はしていない。この地には以前から三井グリーンランドという遊園地があり、ウルトラマンランドはそこに隣接している。私がその王国を訪れたのは、ウルトラマンティガがテレビ放送を開始する前の’九六年夏のことだった。

 ウルトラマンランドの敷地内には幾つかの建物が点在しているが、構造はそれぞれプレハブである。結構な大きさであるため、ちょっとした工場や農協の集荷場(?)をイメージしてもらえば良いだろう。土産物売り場にはクーラーがついているが、メイン会場の最も大きな建物にはクーラーがない。風通しが良いような造りにはなっているが、それこそ農協の集荷場の有り様である。ゲートの正面には歴代のウルトラマン(マネキンに着せて)が全て飾られている。中央はテレビ放送開始を控えたティガだ。もちろん、ウルトラマンネオやセブン二一もいる(彼らはテレビ放送されていない)。

 メインステージでは日に何度かのショーが催されている。ストーリーは割愛するが、兄弟+父・母が出て来る豪華仕立てであった。やはり、前半では彼らはやられてしまい、捕われの身となってしまう。そこですかさず、進行のお姉さんが現れ、子供達に声援を送るように呼び掛ける、お決まりの展開となる。「ウルトラマンが小さい」などと疑うことも無く、「スペシュウム光線が光らない」などとも言わず、子供達は熱心に声援を送っている。一種の集団催眠状態、ちょっと恐くなった。さすがにヒーローショーで使用する着ぐるみは傷んでいる。膝の補修の後が痛々しい。

 その会場を出るとウルトラマン達は係員に先導され、園内をグルグルと回っている。それを彼らは「パトロール」と称していた。子供達と握手をしたり、写真を撮ったりと、炎天下では結構大変な仕事であろう。交代の時間が来た様だ。「じゃあ、アストラは次のパトロールがあるから」と、係員が子供達に説明し、アストラを事務所に連れていってしまった。きっとあの事務所の中には着ぐるみを脱いだヒーロー達がくつろいでいることだろう。「中を見てみたい」。息子の手を引き、「この子、迷子みたいです」と一芝居うって、中に入り込もうか(もちろん、妻が迎えに行く)と思ったが、あまりにも親子と分かり過ぎる、その風貌に断念せざるを得なかった。