第504話 ■恋愛ドラマのセオリー

 「恋愛とはタクシー待ちのようなものだ」。ドラマ「Love Revolution」の冒頭は江角マキコのこんなナレーションから始まった。その後には確か、こんな感じのフレーズが続く。「待っているとなかなか現れず、通り過ぎるタクシーは客を乗せている。通りを変えてみようかとした隙に別の誰かに持っていかれてしまう。そして、歩こうかと思った途端に何台ものタクシーが現れる」。なるほど、面白い例えである。しかし、実際の恋愛とタクシー待ちが違い、現れたタクシーであればどれでも良いと言うわけでないし、また、運良く乗車できても、うまく目的地(ゴール)にたどり着くけるかどうかは分からない。

 「Love Revolution」はフジテレビの月9の枠で、前作の「HERO」、前々作の「やまとなでしこ」に比較すると出演者の点で若干華に欠けるところがある。しかし、私としては中途半端な職業ドラマをベースに恋愛を展開させていくつくりよりも、ドラマのタイトル通り、恋愛をテーマに直球勝負を仕掛けて来る点で注目している。確かに主人公の江角マキコは医者であるし、病院でのシーンは出て来る。この他にも出演者のそれぞれは、スチュワーデス、政治記者、シェフ、政治家秘書、バーテンダー(&売れないアングラ劇団男優)、それにマッサージ師だったりする。それぞれが仕事を持っているのはドラマの幅を広げるためのもので、職業ドラマとは一線を画している。

 さてさて、恋愛ドラマの構成と言うか、セオリーと言うべきか、要は三角関係や四角関係、または二人の間に障害があって、それが時々の出来事と絡んで話が展開することになっている。大枠はこれだけのものでしかないし、これから外れる恋愛ドラマは、おそらく成立しないだろう。予定調和が見えていても、その過程がドラマティックであることを願い、人々はドラマを見ている。そこにはできるだけリアルな設定を求めるが、単調なストーリーでは受入れてもらえない。現実的には、「あんな美人や格好良い人ばかりではない。格好良い職業ばっかり。他に悩みはないのか?」と思いながらも、思いっきり、虚構の世界を楽しんでみたい。

(秀)