第272話 ■中間テスト

 今日、仕事で昼間外出した際にやたらと学生の姿が目についた。「こんな早くに学校が終わるのか?」と思ったが、どうやら中間テストの期間中ということで納得した。そう思っても観察すると、なるほど電車の中でテキストや参考書らしきものを開いている割合も高い。いかにも沿線に学校が多い東横線らしい。

 テスト期間は午前中で学校が終わるために、徹夜の一夜漬けも何とか可能になる。この夜を楽しく乗り切るには食料の確保が必要だ。また、無音ではあまりにも寂しいのでラジオが徹夜の友となる。夜が更けるとともに不思議とテンションが上がって、外が明るくなるにつれ、ハイになってしまう。このことは勉強の進捗にはあまり関係なかったような気がする。私の大学時代の後輩に明け方に安心して「ちょっと、仮眠でも」と思ったところ、そのまま夕方まで寝込んでしまった奴がいる(テストは午後からだったらしい)。そんなときに限ってテストは一夜漬けの必要もないほど簡単だったということが分かってしまっては、泣くに泣けない。

 昼夜逆転の生活はどことなく楽しいが、身体的にはかなり無理を強いていることだろう。体内時計が狂ってしまうこともあった。昼過ぎに家に戻るとその晩の徹夜に備えて早速眠りに着いた。かなり眠ったような気がしたが、実際にはどのくらい眠ったのか見当もつかず、目が覚めて、ふと時計を見ると七時であった。朝の七時だと思い、慌てて部屋を飛び出すと家族は夕飯を食べていた。さすがにその夜からは徹夜はやめにした。