第552話 ■三セク3つの誤り

 私の生まれ故郷は九州のある県庁所在の市であるが、このほどこの街の中心にあるショッピングビル(と言っても、ちんけなものだが)の経営母体の会社が破産宣告を受け、倒産した。たぶんここ数日の市民の挨拶は「暑いですねー」に続いて、「(とうとう)つぶれたねー」であろう。

 このビルは市街地の再開発と活性化の起爆剤として、市主導の下作られ、市を筆頭株主とした第三セクター方式の会社として運営されていた。営業を開始してからわずか3年での破綻である。確かに帰省する度にそのビルが流行っていない(テナントの空きもある)ことや商店街への集客が落ちていることは耳にしていた。商店街も閉店する店が相次ぎ、100円ショップだらけになってしまっていたのには驚いた。誰もがこの倒産の日が来ることを予見していたはず。そして、ついに市が「黒字化の目処が立たない」と再建への加担を放棄し、倒産してしまった。

 第三セクターによるレジャー施設などの破綻が全国的に相次いで報じられている。三セクでうまくいっている例が皆無とは言わないが、ほとんどが左前の状態である。それは三セクが以下のような3つの誤りの下、事業を開始・継続しているからであろうと私は思う。1.収支の見通しやマーケッタビリティ(市場規模・需要予測)の予測が全くでたらめで、期待値の有様でしかないこと。2.一般企業と渡り合えるような経営努力をやっていないこと。「やっている」と反論しようとも、一般企業では全くダメな水準でしかない。3.最終的には行政が救ってくれるという甘い考えがあること。

 何も三セクだけでない。特殊法人も全く同じである。石油公団や道路公団がまさにそうである。いや、行政そのものがこんな感覚で仕事をするから660兆円もの借金を作ってしまうんだ。

(秀)