第584話 ■シャツの裾

 それがズボンの中にあるべきか、ズボンから出しておくべきかは非常に悩ましい。少なくとも私には明確な判断基準がないため始末に悪い。Tシャツにしろ、ポロシャツにしろ、特に若い人の間でシャツの裾を外に出して着る人が増えている。それが当たり前かのような雰囲気さえある。ところが、こんな風にシャツの裾を出して着るスタイルは、少なくとも私の子供の頃にはなかった。

 今は高校生や中学生の男の子が夏の制服のシャツを出して着ているが、そんなスタイルはかつてはなかった。今ほどではないが、ズボンを腰ではく者はいたが、制服のシャツの裾はちゃんとズボンの中にしまわれていた。「お前、シャツ出てるぞ!」、「いっけねー」、とあわててしまい込んだりした。これは、制服に限らず、Tシャツでもポロシャツでもそうだった。当時はカジュアルショップのマネキンでさえもシャツの裾はちゃんと中に入れていた。

 ズボンにTシャツやポロシャツの裾を入れるのは、もはやおじさんスタイルになりつつある。カジュアルなのに変なベルトをして、白い靴下を履いていたら完全にアウトだ。潔く、おじさんであり続けよう。私の場合は中途半端で踏ん切りがつかない。とりあえず、スーツを着る場合のワイシャツの裾を出して着る作法は今のところ無い。おそらくはこれからも大丈夫だろう。何しろ、おじさん服なのだから。たとえ派手な色シャツでもそうあり続けて欲しい。そして、お腹が冷えるので、パジャマの裾をパジャマのズボンに入れるのは許して欲しい。相当、格好悪いけれど。

(秀)