第657話 ■お楽しみ会

 子供達の2学期も今週でおしまい。授業は既に短縮授業で、午前中で授業もおしまいというところも多いのではなかろうか?。子を持つ親としてようやく気が付いた。学期末の短縮授業や半ドンの理由が。先生達は今頃一生懸命、通知票をつけているのだ。各教科毎の成績をつけるのは一定のルールに従えば機械的に数値がアウトプットできるのでまだ良いだろうが、一人一人の「所見」を書くのは大変なことだろう。しかも手書き。修正液の跡なんかみっともない。これは大変だ。

 そんな教師達の苦労はよそに、子供達は来るべき、クリスマスや正月に、そして冬休みに心奪われている。通知票が気になりながらも短縮授業と半ドンのおかげで開放的な毎日を送っている。ほとんど場合、既に今学期の授業も終わっていて、期末の行事に費やされている。私たちのときは決まって「町区児童会」というのがあった。各町毎に子供達が集まって、休み中の注意を受けたり、目標を決めたりする時間である。

 そして、ほぼこれと同じ日に「お楽しみ会」が行われる。学活の時間を使ってのパーティと言うか演芸会である。私はこのお楽しみ会ではスターであった。まず、上級生からの情報を元に他のクラスにさきがけ、小2ながらお楽しみ会を自分のクラスで実施した。そのときは手品をやったと思う。やがて、3、4年生ともなると、出し物は高度化し、「レッツゴー7匹」と銘打つコント集団を率いて、脚本、監督、小道具づくりと、お楽しみ会を大いに盛り上げた。今思えば、「レッツゴー7匹」とは、何ともお間抜けなネーミングであるが、子供にとってはこのネーミングと過去の実績で、恒例化するとともに、毎回何かを予感させるに十分なパワーがある集団となった。

 やがて5年生となって、クラス替えのために7匹はバラバラになってしまった。それでも私は新たなクラスで「レッツゴー7匹」シリーズのコントをやるつもりであったが、この噂を聞きつけたかつてのメンバーの一人から、「元のメンバーでなければ『レッツゴー7匹』という名前を使わないで欲しい」、と言われた。彼の真剣な「レッツゴー7匹」に対する思い入れに感動して、私はこの「レッツゴー7匹」を永遠に封印した。

(秀)