第682話 ■偽装牛
「雪印またも不祥事、輸入牛を国産牛と偽る」。このニュースに接したとき、頭の中で「?」が3つぐらい並んだ。「何故、わざわざ狂牛病騒ぎの国産牛と偽る必要があるのか?」と。スーパーに行くと、「輸入牛肉(特にオーストラリア、ニュージーランド産)」であることが安心のマークかのように並べられている昨今なのに。
報道内容を読んでようやくその意味が分かった。彼らの狙いは国産牛肉の処理のために準備した政府助成による全農からの補償金であった。これは明らかに詐欺である。ここで2つの疑問。輸入牛肉と国産牛肉の価格差や今回の補償金の額は分からないが、正直に輸入牛として販売するよりも、リスクを冒してまでも手にしたいと思うほどの補償金は高すぎるのではなかろうか?。日頃から高い肉を食わされ、いざとなったらこんな形で私たちの税金が投与されるシステムはどこかおかしいぞ!。それにこんな世間が騒いでいる最中にこんな偽装工作を行うぐらいなら、これまでも輸入牛肉を国産牛肉と偽って販売していたのではなかろうか?、と疑いたくなる。
4年くらい前になるか。私の故郷にある生活協同組合で輸入牛肉を国産牛肉と偽って販売していた事件があった。購入者には差額を返金し、直接関与した者をくびとするとともに、経営陣も責任を取って、事態は収拾されたと思う。もちろんこれは悪いことである。しかし結果として危険な国産牛肉から組合員を守っていたとしたら。「何か悪いことをしてやろう」と思ってやったことがすべて良い結果となるマンガみたいな話だ。
今日の結論。「国産牛肉は安全でないくせに高い(高かった)」。それは生産者だけの責任ではない。今日取り上げた事件はともにこのことをきっかけにしていた。
(秀)
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