第710話 ■ドラゴン的ストーリー

 「燃えよドラゴン」が日本で公開されたのは’73年夏のこと。まさに一世を風靡し、「アチョー!」という言葉が我々子供達の間にも流行した。それにあのテーマミュージックもよく耳にした。日本での公開は「燃えよ」が最初であったが、実際の撮影はそれに先立ち、「危機一髪」、「怒りの鉄拳」が撮影されていたようだ。皮肉と言うか、ブルース・リーはこの日本でのデビュー作と言うべき「燃えよ」の日本公開の前後にこの世を去っている。ブルース・リーをとても好きな友達がいて、よくブルース・リーの真似をしていたなあー。

 何しろ、ヌンチャクというあの武器がセンセーショナルであった。ドラゴン映画の小道具として欠かすことができない。別の友人がその兄さんから新聞紙でヌンチャクを作って貰っていて、私も早速真似した。そして瞬く間にその新聞ヌンチャクが周りにも広まった。材料は新聞紙に紐、セロテープであるが、新聞紙が見えては格好悪いので、やがて黒のビニールテープで新聞紙の部分をグルグル巻きにする形で完成型となった。しかし、テープを巻いたために、頭などに当たると痛い。もっとも、はなからヌンチャクなど上手く扱えるはずもなかったし。それでもとりあえず、両手に持って前に突き出し、「アチョー!」。そしてこのヌンチャクが壊れる頃に、ヌンチャクブームは終わった。

 さてさて、映画の方の個々のストーリーをはっきりと覚えていないのが残念であるが、だいたいそれぞれのストーリは同じような展開を示していたと記憶している。身内だと思っていた、師範や兄弟弟子が実は黒幕で最後に裏切る、そんな展開であったはず。ジャッキーチェン主演の「○拳」といったカンフー映画でもこの路線を受け継いでいたような。ついでに日本のドラゴンと言われた倉田保昭主演のテレビドラマ「闘え!ドラゴン」も確かそんな伏線が用意されていたと記憶している。要はワンパターンだった。

(秀)