第787話 ■くじ

 駄菓子屋がらみの話を書きながら、駄菓子屋には実に多くの「当てもの」があったことを思い出した。駄菓子屋の店先に並んでいる半分以上が何らかのくじが付いた当てものだったような気がする。モロッコのヨーグルトにフィリックスやマルカワのガム、きなこ棒にホームランバーアイス。etc…etc…。メジャー菓子の森永チョコボールもある意味当てものと言えるだろう。

 くじには何種類かのスタイルがあり、切手大ぐらいに切り離され、貼り合わせられている紙を剥がして中に書いてある当落をみる。これがまあ、基本形だろう。また、細長い長方形の紙がまとめてあって、それから一枚紙を引っ張って抜くのもあった。それ以外にも食べ物のくじでは、その食べ物自体がくじになっている例もあった。丸いガムがそうで、色で当落を区別していた。

 一方で、今となって思い出すと相当に困ってしまうようなくじもあった。舐めるくじである。お金を払って緑色の紙を引き、それを舐める。すると紙に文字が現れる仕掛がしてある。御腹を壊したかどうだか覚えていないが、かなり不衛生な話だ。それ以上に、子供達が舐めた唾液いっぱいのそのくじを受け取り、手を洗うことなく、その手で煎餅を渡してくれる、おばちゃんの不衛生さ。唾液いっぱいのそのくじを嫌な顔一つしないおばちゃんのプロ根性(無神経さ)に騙されていたのだろう。何の疑問も感じず、これまた汚れた手でそれを受け取り、おいしくほおばったものだ。

(秀)