第795話 ■こんな議員はいらない

 地方政治と言いながらも、長野県政がまさに全国の注目の渦中にある。「田中康夫知事不信任」。その数日前から新聞報道等で不信任案提出、可決の見通し、というのは伝えられていたので、その事実に対してはそれほど驚いてはいない。公正・公平を旨とする報道でも、県議側の弱いものいじめとして、知事側を後押ししているように見えるのは私だけではなかろう。

 不信任決議まで挙げ、ダム建設を守りたい県議側は「県民の生命を守るため」と治水目的を掲げる。しかし、その半数が土木関係者という議会構成を見ると、利権に対する執着のようにも見える。知事の話によると、今回中止とした2つのダム建設費が六百数十億円。そのうちの約4分の3が国庫による負担。要は長野県民以外の金(多少は長野県民の国税が還流しているけど)である。こうなると他県ごとと無関心ではいられない。一方、工事費はその約8割を県外のゼネコンが持っていくらしい。この比率の差(25%出して、地元に落ちるのは20%)から県民の金が県外に流失していると、知事は説明するが、流失した80%の一部が地元の下請けへと還流するのは間違いないだろう。

 ダムの良し悪しについて私は論じるつもりはない。むしろ今回私が注目したいのは、不信任決議の採決結果である。不信任案に対し、賛成44、反対5。ちなみに、不信任成立には出席議員の4分の3以上の賛成が必要である。県議定員60人に対し、賛否を明らかにしたのは以上の49名。差し引き11人の内訳は社民党系の社会県民連合の7人と県政会の3人が採決の際に退席、残りの1人は病欠。

 病欠の一人を除き、59人が採決に参加したとし、賛成がそのまま44人だったとしたら、出席議員の4分の3に達せず、不信任案は否決となった。県政会というのは不信任案を提案した中心会派である。それなのに不信任案に賛成することが出来ず欠席したのだろう。だったら、その前に会派を離脱せよ。社会県民連合の7人に至ってはまとめて意思表示をしない無責任ぶりである。議会が解散となった場合はこれらの議員も再び立候補するのだろう。いったい有権者に対してどう説明するつもりなのだろう。不信任を唱え、テレビなどで袋叩きにあっている県議よりも、こんな肝心の場で賛否の意思表示をしない欠席議員の方が吊るし上げをくらうべきだ。税金泥棒!。こんな議員たちこそ辞職すべきだ。

(秀)