第818話 ■クイズ番組の変遷(後編)

 かくして一時期、出題内容が異様に高度化していったが、それもあまり長くは続かなかった。そんな中、「テレビチャンピオン」は巧みにそのスタイルの切替えに成功し、かつてのクイズ形式による知識偏重型から実技重視型になった。一方、「カルトQ」は形を変えることなく、滅んでしまう。

 それからしばらくはクイズ番組のほとんどがテレビの番組欄から消えた時期がある。しかし、そんな状況があるときを境に一転した。法律の改正でこれまで100万円だったクイズ番組等の賞金の上限が1,000万円まで拡大されたときだ。ここで「クイズグランプリ」が新装復活し、「クイズ$ミリオネア」が参入。それと新しいところでは、「ウィーケストリンク☆一人勝ちの法則」が登場した。

 「ウィーケストリンク☆一人勝ちの法則」には馴染みのない人も多いだろう。イギリスで放送されている番組の日本語版だ。司会は伊東四朗。全体が制限時間で区切られた7つのピリオドで構成されている。それぞれの問題に対する回答権は一人ずつ順番にローテーションで移っていき、その問題に回答出来るのは一人しかいない。最初は8人の解答者で始まるが、各ピリオドが終了する毎に一人ずつ脱落していき、最後に一人だけが残る。賞金は各ラウンド毎に貯えられた金額だが、番組のタイトル通り、最後に残ったものだけがこの賞金を独り占めする。

 この脱落していく人をどうやって決めるかと言うと、クイズの成績ではなく、残っている解答者の投票で決まる(最後の一人は成績で決まるが)。要は後々に驚異となる人が狙われやすい。その結果、極端な話、決勝ピリオドがワーストの2人で、ブービーの方が賞金独り占めとなる。そのせいか、全体を通じて問題の難易度のレベルは極めて低い。ただし、賞金総額は全体の成績で決まるので、正答率が極端に悪い回答者も狙われる場合がある。このように実力の優劣よりも、単に嫌な奴を切り捨てていくというやり方は道徳的な面で問題があると思う。例えそのピリオドで脱落しなくても自分を脱落者として投票した相手が分かるわけだから、恨みも出てこよう。

 そして、最近のクイズ番組の頂点は「クイズ$ミリオネア」であろう。最高金額の1,000万円は一般的には魅力である。しかし、私はこの番組も許せない。最後あたりの問題は別として、100万円くらいまでの問題というのは総じて簡単すぎる。高望みをせず、あっさりこのあたりでリタイヤしての100万円狙いなら獲得率も高いと思う。けど、それでは会場の観客や視聴者が許してはくれないはず。ついでにみのも。答えが分かりきっているのに、「ファイナルアンサー?」と聞いた後の不安にさせるような顔が嫌だ。また、眉間にしわを寄せたまま、大映しでCMに流れるところも嫌だ。きっとその直後に流れるCMの高感度はいつもより幾分低下していると思う。

[今日のまとめ]
最近の高額懸賞クイズ番組はイギリスの番組の日本語版でしかない。
これらは問題の難易度が低い。
クイズ自体の質が悪い分、射幸心への依存度が極めて高い。
こんなクイズ番組たちは邪道だ。
ついでにみのも許せない。(伊東四朗は許す)

(秀)