第837話 ■写真工場がやってきた

 昨年末の大晦日に年賀状を印刷しながら、「来年こそは新しいプリンタを買おう」と心に決め、早や8ヶ月が過ぎた。今年も三分の二が終わってしまったわけだ。年を取るごとに時間の経つのが早く感じられる。まあ、心に決めてはいたものの、年末までにはというのが本心だったが、私の物欲にあるWebサイトでのレポートが火をつけた。

 そのサイトではパソコン関連製品の試用レポートを掲載しているのだが、その日のお題は「キヤノン BJ 895PD」というプリンタだった。インクジェット式のパソコンプリンタでありながら、そのプリンタはカードスロットを持っており、このカードスロットにデジカメのメモリーカードを挿入すればパソコンと繋がなくても、写真プリントが(しかもフチなしで)できるという代物である。非常に使い勝手も良く、出てきたプリントは写真と遜色ないなどのことが書かれていた。

 早速欲しくなって、この記事の翌々日の会社の帰りに買って帰った。予算の都合上、同じ機種ではなく、「BJ 535PD」という廉価版になってしまったが、同様にメモリーカードスロットを持ち、ダイレクト印刷機能も持っている。また前述のレポートで購入を勧めていた、プリンタに接続する「イメージビューワー」というオプションの液晶画面も一緒に買った。ついでに写真サイズの専用のプリンタ用紙も。

 自宅に帰って早速セットアップ。その後メモリーカードをプリンタのスロットに挿すと、イメージビューワーに画像が表示された。画面で確認しながら印刷したい写真までデータをめくり、目的の写真が表示された状態で「印刷開始」のボタンを押す。用紙が吸い込まれ、写真と何ら遜色のないプリントが約30秒後にプリンタの前方から出てきた。簡単。感動した。まるで写真工場だ。

 画像は確かに綺麗だ。ただ、これがパソコンからプリンタに印刷したものならこれほどの感動はなかっただろう。デジカメから抜き取ったメモリーカードをプリンタに挿し、即時にプリントアウトできる手軽さが何とも心地良い。癖になってしまい、その日買って来ていた50枚の専用のプリンタ用紙を使い切ってしまった。パソコンには繋がずに、しばらくはこうして写真工場として使用したいと考えている。

 メーカーももっとこんな使い方をうまく訴求すべきだと思う。デジカメユーザーが必ずしもパソコンユーザとは限らない。潜在的需要は大きいはず。エプソンは優香が変なヒーローの格好で現れ、即時にデジカメからプリントアウトするプリンタのCMを流しているが、肝心な部分があのいでたちとCMソングのしつこさで吹き飛んでしまっているような気がする。ところでこのCM、自転車で現れて、プリンタの電源はどうしてるのかな?。

(秀)