第856話 ■運動会の季節

 皆さんの身のまわりでの運動会はもう終わっただろうか?。運動会なんて無縁の生活をして久しい人も多いであろう。ただ、車で通りかかっただけの小学校などで運動会が行われている様子が、万国旗やスピーカーから流れてくる放送で伝わってくると、そわそわしてしまう。また、前日であろう、万国旗が飾り付けられ、テントが張られ、きれいな白線が引かれた放課後のグランドを見ると凛とした緊張感を今でも感じる。ところでなんで万国旗なんだろう。イギリスやフランス、ブラジルの児童はおそらく走るはずないのに。めでたいのなら、紅白の横断幕だろう。もちろん、卒業式に万国旗はおかしい。

 一般的に子供の数が少なくなって来ているので、徒競走で走る組数も少なくなった。それにいわゆるお遊戯も一学年では人数が少なく見栄えがしないため、二学年合同などになる。このため、全体の進行に要する時間は極めて短くなる。昼飯を食ったら、プログラムはほぼ終盤となる。昔は夕方までやってたはずだが。

 やはり楽しみは昼食に尽きる。外で食べる食事はどうしてああも美味く感じるのだろうか?。それに同じ食材、同じメニューでも弁当の表情が違う。まず、ゆで卵がチューリップの花の形に切ってある。リンゴはうさぎ、ウインナー(赤いやつ)はタコ、またはカニ。夕飯の食卓でこんなものが、しかもフルで現れることはまずない。遠足で食べるときも確かに外だが、運動場で家族と一緒に食べる弁当の方が美味かった。家族の事情に配慮し、子供達は教室に戻って、しかも給食を食べる所もあるやと聞く。何たる野暮なこと。

 子供が少なくなったのとは逆に見に来る家族の数は増えた。まさに一家総出だ。そのため早朝から熾烈な場所取り合戦が行われる。早く目が覚めるおじいちゃんやおばあちゃんにお願いしてしまうと、門が空いた途端にあれよあれよと、後から並んだ若い人に追い抜かれて、せっかく早朝から並んだ甲斐がなくなってしまう。そのためお父さんはビデオ撮影に良い場所を得るために三脚まで持って並ばなくてはならない。しかしいざ始まると、誰もが同じような格好をしているためにファインダー越しに我が子を探すのはなかなか難しい。事前の打ち合わせをじっくりされたし。健闘を祈る。

(秀)