第857話 ■西友返金事件

 先週あさましい事件が起きていた。北海道の西友で一部輸入肉を国産肉と偽って販売したお詫びに返金を行ったところ、嘘つきが大挙押しかけて、大騒ぎになった事件だ。事件のあらましは文字として知っていたが、週末にその映像をテレビで見て驚愕した。これはコラムに書き残しておかねばと自身奮起した。

 20数万円の差額を得たがために、この店が払い戻した総額は約5,000万円。差額のみではなく、購入代金そのものを返したわけだろうが、あまりにも大きな代償となった。これを純利益として回収するには約10億円の売上が必要ではなかろうか?。「レシート不要」と人を信じたばっかりに、携帯で人を呼び集めたり、Webの掲示板には「行けば金がもらえる」との書き込みがなされる始末。店も自分達が嘘をついていた訳だから、人を信じるべきではないことを一番知っていたはずなのに。面倒なことを金で解決しようとしたがための失策である。虚偽販売が明るみに出て、信用を失墜したところで、売上が10億円も減ることはなかったろうに。もちろん、「隠蔽し続けた方が良かった」と、隠蔽を推奨しているわけではない。

 概観や容姿のみで人を判断すべきではないが、テレビで見た映像は明らかにたかりの集団、それである。金額でざっと換算してみたら、正直者が一人いたとしたら、その周りに50人の嘘つきがいたことになる。お客に払った最高金額は10万円。未払いながら、輩が請求してきた高額なものは90万円、78万円と報道されていた。いったいどれほどの肉の量になるのだろうか?。返金を打ち切って諦めるどころか(諦めた者もいただろうが)、今度は暴れる。「わざわざ遠くから来たんだぞ!」と言ったかどうか。じゃあどうやってそのときは買い物に来ていたのか?、って言ってやれ。「どうしてあいつらだけ金貰って、俺らが貰えないんだ?!」。自分が詐欺および恐喝をはたらこうとしている自覚がないのだろうか?。店は不正に受領したことが明らかになった輩には詐欺として刑事告発すべきだ。詐欺は未遂も罰せられる。90万円や78万円と言ってきた奴らをまず告発すべきだ。ビビって多少金が返ってくるかもしれないし。

 あのニュース映像を見ながら、今の日本の悪いところを凝縮して見せつけられた気がした。彼らは日本ハムの不正を糾弾する資格などない。汚職で私服を肥やす政治家に文句を言う資格もない。私利私欲に走り、こんなズルをして儲けようと企むあさましい人々の存在が今日本が抱えている諸問題の存在を容認している土壌になり得ているのだと思った。その一方で、今回の事件の舞台を作ってしまった西友のバカ。税金を詐欺でかすめ取られてしまうような制度を作った農水省のミニチュア版と言うべきだろう。

(秀)