第907話 ■日本有線放送大賞

 まあ、どうでもいい話だ(と言ってもここで話を終わらせるわけにはいかない)が、今年も音楽賞番組の季節がやってきた。タイミングと言い、ネームバリューからして、やはりTBSの「日本レコード大賞」がもっとも権威あるものだという先入観があるが、高橋圭三が司会の座を退いてからは、司会者の箔もなくなり、それにあわせて賞の権威も摩滅していったように思える。今さら「レコード」というタイトルもね。

 これに対して、日本テレビは「日本歌謡大賞」、フジテレビは「FNS歌謡祭」というのをやっていた。「日本歌謡大賞」は現在どうなっているのか?、ちょっと気になって調べてみたら、平成5年でひっそりと終わっていた。「FNS~」の方は数年前から賞番組ではなく、その名の通り、人気のある歌手を呼んでの音楽番組になった。選考基準が曖昧で胡散臭い、音楽賞番組よりは賢明な転身だと思うが、中身は司会者が楠田枝里子に代わっただけの、「HEY!HEY!HEY!」のスペシャル番組といった具合だ。もちろん、ダウンタウンの毒はなく、笑いと緊張感もない。ちょっと豪華な歌番組。

 NHKの「ゴールドディスク大賞」はその選考基準が、CD等の売上という点で潔い。ところで、「日本有線放送大賞」というのがよく分からない。先日、TBSで放送していた。司会者は薬丸@はなまる(または、@元シブがき)。そして会場は収容人数、千人くらいのどこかの市民会館並みの小さなホール(青山劇場だったらしいが)、しかも空席がとても目立っていた。何ともチープだった。

 大賞は浜崎あゆみだったが、あまり嬉しそうではなかった。大賞だからということで、嫌々引っ張り出されてきたのだろう。そもそも有線放送というのはレコードやCDをリクエストに応じて流しているものだから、受賞式でもそのスタイルを守るべきだ。「それでは大賞受賞曲をお聞きいただきましょう」、と言って、ステージでCDを掛ける(できればレコードの方が余計に面白くはあるが)。そして、いっそのこと有線放送のみで放送してくれ。

(秀)