第908話 ■進行

 雑誌媒体は年に数度の「進行」というのがある。例えば年末年始に出版社と印刷会社が休みを取るために、週刊誌などは合併号を出すことになる。ボリュームも増し、締め切りも早まったり、2号分の作業を同時並行で進めたりもする。この時期は「年末進行」という。もう既に原稿は固まり、印刷に回った頃ではなかろうか。この他にも「お盆進行」や場合によっては「ゴールデンウィーク進行」というのがある。

 このため、合併号は確かにボリュームはあるが、情報の新鮮味という点での魅力に欠ける。「ワイド特集」と銘打って、取材や裏取りが曖昧な憶測に任せたような記事が紙面を埋めることになる。そうと分かっていても、この時期は暇だし、いつも買っている雑誌も次の号まで間が開いてしまうので、ついついいつもは床屋や食堂でしか読むことがないような雑誌まで買ってしまう。

 一方、テレビも今時分から特別編成になる。ドラマが切り良く終わっての繋ぎかと思っていたが、そういうわけでもなさそうだ。正月向けの番組をこの時期にビデオ撮りしておかねばならない。かと言って芸能人の体は1つしかない。よって今時分の番組はビデオ編集ものが多くなる。「警察24時」、「衝撃のスクープ映像」などだ。今では毎週レギュラー番組でスクープ映像(特に外国もの)を紹介している番組もあるぐらいだから、衝撃を受けるほどの映像なんてそうそうない。先日は2日に渡って、局は違えど、同じような番組をやっていて、やはりいくつも同じ映像を流していた。

 「珍プレー、好プレー」もこの類。レギュラー番組の「総集編」も同様。これは歌番組で多い。これらのほとんどは年末年始の番組作りを同時並行でやっているためだろう。スタッフが精根尽くして考え出し作り出した感じの番組ではないので、やはり面白くないものが多い。言わばこれも「進行」だ。但し、テレビは雑誌のように年末年始に休むわけにはいかない。

 もし年末年始の特番の撮り貯めができなかったところ、あるいは敢えてこれをやらなかったところはどうなるか?。それは正月に玉川カルテット、青空球児・好児、チャッキリ娘、マギー司郎などが生で出演することになる。彼らまでビデオ撮りなってもらっては困る。生だからと言って、それを見るかどうかはまた別の話だが。

(秀)