第1657話 ■10年だからこそ

 本日を以って、秀コラムは丸10年を迎えました。ひとえに読者の皆様のおかげと感謝しております。ありがとうございます。

 10年一昔とはよく言ったもので、特にコンピュータや家電の世界に照らし合わせると、隔世の感がある。コラムを書き始めた当時は電話回線のダイヤルアップでインターネットに接続していた。そして、今に比べればずいぶん非力なノートパソコンで原稿を書いてはメールで配信していた。

 こうして10年まとまってみると、立派な自分史になっている。そのときどきの暮らしぶりや考え、家族の様子に社会の出来事などが記録されていて、各々主張している。書き始めた当初はこんなに長く続くものだとは思いもしなかった。逆に今となっては止め時を決断するのが怖い。だから続いているのかもしれない。

 自分自身これ程続いた趣味や習慣は他にない。最初のうちは平日日刊のペースを忠実に守って4年続け、1000話を達成した。それからのペースダウンは、やや心苦しいところもあるが、日々着実にその号を重ねている。

 さて、仮に私の目の前に神様が現れ、「10年若くして、10年前に戻してあげよう。但し、これまでに書いたコラムなどの原稿はデータごと全て消えてしまうけど良いか?」と聞かれたら、「じゃあ、いらない!」と答えるだろう。それ程、私には重要な財産となっている。同じことをもう一度ハナからやる気には到底なれない。

 ところがもし、さらに40年経っての臨終間際。同じく神様が現れ、「これまで書いた原稿が全て消えてしまうのと引き換えに50歳若くして、50年前に戻してやるけど、どうだ?」と聞かれたら、それを断る勇気はない。

(秀)