第1659話 ■地デジハイビジョン普及への道

 地上デジタル波受信装置の普及が予想よりも遅れている原因は、その金額の負担という面もあるだろうが、それ以上にテレビを見ない人が増えたことの影響が大きいのではないかと思う。

 周りの地デジテレビを持っている人を調査すると、日頃からテレビをそこそこ見る人か、このタイミングでこれまでのテレビが壊れてしまった人だった。テレビをあまり見ないと言う人が、故障などの外的要因がない状態で、進んで地デジテレビを買うことはあまりない。急いで買う必要がないからと、いくらかでも値段が下がるのを待っているような雰囲気だ。

 それでは「何故、テレビを見ないのか?」となると、「別に見たいものがない」とか「面白くない」からという返事が返ってくる。確かにうなづける。「特にハイビジョンの綺麗な画像でまでも見る必要がない」という意見もある。確かにテレビの技術的な進歩に対して、コンテンツの方の進歩が全く追いついていない。ハイビジョンに適した娯楽番組がない。スポーツはちょっと可能性がありそうだが、「オリンピックがあれば売れるだろう」、といった目論見は見事に外れた。そのまま来年のサッカーワールドカップを待つのか。

 このようにテレビの話題ばかり先行しているが、アナログ停波で使えなくなるのは何もテレビばかりではない。ビデオデッキやアナログチューナーしか持っていないDVDレコーダーもアナログテレビ同様使えなくなる。まあ、これまで記録したものを再生するのみは使用できるのだが、それではあまりにも悲しい。ただ、ビデオデッキはビデオテープをDVDなどにメディア変換するまでは捨てられない。

 ひと通り、地デジテレビが普及してしまうと、DVDのメディアとしての地位が大きく低下すると思う。一気にブルーレイへの切り替えが加速するだろう。地デジを見慣れて、しかも大画面となると、DVDでは画像が荒く見えてしまう。現状でも地デジであれば、DVDを再生した画像よりも放送を直接見た方が、映像は綺麗だ。BSデジタル波で放送されている映画コンテンツの画像の美しさはブルーレイ並みだ。中には音声が5.1チャンネルのものもあり十分である。

 まあこんな感じで、テレビのデジタル化にはまだ超えなければならない壁が見る側にも見せる側にも幾つもありそうで、結構金も掛かりそうだ。現在の不況脱出の鍵はこれらの「地デジ」のような気がする。それにしても、テレビ番組面白くならないかな?!。

(秀)