第1125話 ■江角マキコの年金

 江角マキコ。これには笑った。昨年行われた国民年金PRのキャラクターを務めた彼女が実は国民年金の掛金を支払っていなかったという顛末である。笑うしかない。これほどのネタがあろうか?。そもそもあのCMを初めて見たとき、「お前は払っているのか?」と突っ込んだ覚えがある。洒落じゃなかったのね。

 しかし、彼女以上の笑いものは社会保険庁の役人だろうし、民主党の菅直人だ。「参考人招致だ」と息巻いて、マスコミに向けて語っていたが、「エズミ?、エズミ?」と周りに聞きながら、しかも間違えて、バカをさらしていた。党内からのブーイングも当然のこと。実際に彼女を国会に呼ぼうものなら、世間は「ひどすぎる!」、「かわいそう!」と反応し、参院選を前に、民主党の支持率は高橋尚子をもってしても回復できないほど下がるに違いない。そして、菅直人の政治家生命は終わる。

 社会保険庁に広告代理店が江角マキコの話を持ってきたのは彼女が「ショムニ」で見せた高慢な説教振りをかってのことだろう。しかし、そもそも、政府広報なるものの効果自体が疑問である。覚醒剤や拳銃の追放を人気タレントがポスターで呼びかけようと、これらはカジュアルな犯罪ではなく、かなり重度の確信犯であるため、そんな呼びかけで応じるはずなど毛頭ない。タレントがテレビやポスターで訴えたところで、これまで年金を未納だった若者達が改心して年金の掛金を払うようになるとは思えない。そもそもこの出発点からおかしいのだ。

 さて、江角マキコも今回の件で過去2年分の掛金を払い込んだらしい。実際彼女は今回の件で当分仕事の大部分をなくすことだろう。その逸失金額たるや、年金PRでもらったギャラの比ではない。本人が悪いとはいえ、かなりの制裁を受けることになる。ひょっとすると芸能界から抹殺されるかもしれない。もうしそうなれば、30年後ぐらいに彼女は年金をもらって細々と生活しているかもしれない。そのとき本当に「年金掛けておいて良かった」と彼女が思うなら、そのリアルな声をCMにして、再度PRキャラクターに起用してあげたらどうか。

(秀)