第1217話 ■鳩時計

 先だっての「時の記念日」に次女が幼稚園から、自分で作った時計を持って帰ってきた。「自分で作った時計」とは少々おこがましく、画用紙にトトロの切り絵を貼り、腹の部分が文字盤になった程度のものだ。とりあえず、割りピンで留められた針はぐるぐると動き、決まっていつも3時を指している。年中組はこのスタイルで、年長組は箱を使った時計だったらしい。今は箱を使ってどんな形の時計を作るのだろうか?。彼らは柱時計などほとんど見たことなかろうに。

 自分も幼稚園の年長のときに時計を作った記憶がある。箱を持って来いと言われ、箱型の柱時計を模して作るものだった。私たちの時代に時計と言われてまずイメージするのは柱時計だった。「大きな古時計」の歌のイメージも影響しているだろう。紙を丸く切リ抜いた文字盤を箱に貼り、下部の振り子の部分は箱に穴を開ける。針と箱の内側からの振り子を割りピンで留める。みんなこのスタイルの時計を作った。

 しかし、少年(秀)はちょっと変わっていた。先生に「鳩時計が作りたい」と言う。そして、文字盤は箱の下部に配し、上部にはさみで扉を作った。三角屋根も作った。飛び出してくる鳩は横からの平面的なものを先生が作ってくれた。それを扉を広げて貼り付ける。出来上がった時計を手に「ポッポー、ポッポー、ポッポー」とお決まりの3時を打って、上機嫌の少年(秀)であった。

(秀)